研究課題/領域番号 |
18K08865
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
川越 いづみ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10445520)
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研究分担者 |
井上 茂亮 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (30582209)
河内山 宰 順天堂大学, 医学部, 助教 (30821722)
福田 征孝 順天堂大学, 医学部, 助教 (80822296)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺癌手術 / 麻酔薬 / 免疫抑制 / プロポフォール / セボフルラン / デスフルラン |
研究実績の概要 |
現在以下の結果について、さらに詳細の解析と検討を行い、英語論文化を目指している。麻酔薬には免疫抑制作用があるといわれているが詳細は不明である。とくに悪性腫瘍患者においては術後感染、再発転移において免疫抑制の検討は重要である。術中麻酔薬の違いによる免疫抑制の程度を比較した。 肺癌手術患者において当院で予定片肺切除手術を受ける20歳以上の原発性および転移性肺癌の患者を対象とした。全身麻酔法(デスフルラン(D群)、セボフルラン(S群)、プロポフォール(P群))をランダムに決定し、麻酔導入前と手術終了時に採血を行った。その後末梢血単核球(PBMC)を分離し細胞表面抗体(CD3, CD4, CD8, CD127, CD25)で染色後、Flow Cytometerにて細胞分画を解析した。各麻酔法(D群、S群、P群)における麻酔導入前と手術終了時のT細胞分画・制御性T細胞の変化率はWilcoxon符号付順位和検定を用いて有意検定を行った。 対象患者は64名で、平均年齢69歳、男性45名、女性19名で,ASA-PSは平均2.19であった。D群20名、S群22名、P群22名であり、各群で年齢・性別・重症度に有意差はなかった。P群では術前と比較して術後にCD8+T細胞数が有意に低下していた(p<0.05)。またS群では術前と比較して術後にT細胞における制御性T細胞(CD127-/CD25+/CD4+)の割合が有意に増加していた(p<0.05)。肺癌手術において、プロポフォールはCD8+T細胞数を減少させ、セボフルランは制御性T細胞の割合を増加させる。以上よりプロポフォールとセボフルレンは異なる機序で肺癌手術後の免疫抑制を引き起こす可能性がある。またデスフルレンは肺癌手術において免疫抑制の程度が低い可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ解析を詳細に展開し、英語論文化を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
さらなる免疫機能の評価を行うために、ex vivoのリンパ球刺激実験を展開し、上清中のサイトカインの測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響による国際学会の中止や、研究助手が入院し来られなくなったため、未使用額が生じた。次年度に更なる研究に向けた試薬や周辺器機を購入する予定である。
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