研究課題/領域番号 |
18K08868
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡邊 伸央 東海大学, 医学部, 助教 (80396928)
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研究分担者 |
井上 茂亮 東海大学, 医学部, 准教授 (30582209) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モノクローナル抗体 / 多剤耐性菌 / MRSA |
研究実績の概要 |
高頻度検出感染菌の中から、まず動物モデルを用いて抗菌活性の評価が容易であり、病院内で多剤耐性菌株の出現が頻発し、臨床的にも高い需要が求められているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する抗体作製を優先することとした。MRSAの細胞壁には水平方向にペプチドグリカン層、垂直方向にタイコイン酸が組み込まれ強化されている。いずれも細胞内で基本ユニットが合成され細胞外へ輸送され重合する。そこで抗体の標的とする膜タンパク質として、ペプチドグリカン合成系1種(MurJ)、細胞壁タイコイン酸合成系2種 (LtaA, TarG)を定めた。MRSAは低密度では無毒であるが、高密度になると一連の毒素遺伝子が発現する。そこで毒素合成の制御する2種の膜タンパク質(AgrB, AgrB)も標的と定めた。 DNAデータベースからこれらの膜タンパク質のアミノ酸配列を引き出し、トポロジー予測ソフトならびに文献情報から細胞外ドメインのアミノ酸配列を求めた。各標的ペプチドそれぞれにつき、N末端にシステイン付加した約20残基のペプチドを2~5種類委託合成した(計14種)。これらを二価の架橋試薬を用いてキャリアタンパク質(KLH)またはポリリジンに結合させBalb/cマウスに免疫した。一方、同ペプチドは血清力価測定とスクリーニング用として、BSAをキャリアに用いて結合させELISAに用いた。免疫した抗原の多くので顕著な抗体価の上昇が見られた。次いでマウスの脾臓細胞をミエローマ細胞と融合した。現在いくつかのハイブリドーマが樹立できた。今年度はこれらを順次腹水化し、イムノグロブリンを大量に取得してin vitroならびにin vivoモデルで抗体の抗菌活性を測定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞融合の際にマイコプラズマの混入をはじめ、度々トラブルが発生したため。
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今後の研究の推進方策 |
作製中の抗体のうち、細胞壁合成系関連(MurJ, LtaA, TarG)のものは、菌の増殖時に共存することにより、ベータ・ラクタム系抗生物質のように、細胞壁合成を阻害して菌増殖を抑制することが期待できる。In vitroでの培養時に抗体共存することにより、この活性の評価を行う。黄色ブドウ球菌は高密度になると毒素遺伝子が発現する。高密度培養時に毒素発現系関連抗体(AgrB, AgrB)を共存させ、アルファ毒素等の分泌量が抑制されるか検討する。有効性を示した抗体は、単独またはカクテルとしてマウスモデル(皮膚潰瘍、敗血症等)で有効性を調べ、ヒト化抗体に向けて開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハイブリドーマ作製時にトラブルが重なり、遅れが生じたため。 抗体としての大量合成ならびに抗菌活性測定にあてる。
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