研究課題/領域番号 |
18K08874
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岩井 鉄平 関西医科大学, 医学部, 研究員 (90440966)
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研究分担者 |
広田 喜一 関西医科大学, 医学部, 教授 (00283606)
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 助教 (60580446)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 麻酔薬 / 神経膠腫 / がん幹細胞 / 三次元スフェア培養 / RNA-Seq法 |
研究実績の概要 |
がん患者の治療としての手術を行う際に使用する麻酔薬の種類などを含む麻酔管理法の差異が、その後の患者予後にいかなる影響を与えるかという問題を神経膠腫(グリオーマ)由来のがん幹細胞を用いてがん幹細胞の表現型への影響(増殖能、代謝モード、細胞膜分子発現、細胞死、細胞内シグナル伝達、抗がん剤への感受性、組織学的検討)に加えてグリオーマ由来のがん幹細胞の遺伝子系への影響(遺伝子発現,エピジェネティックの制御など)を申請者らが樹立した幹細胞様細胞を用いて細胞生物学的、分子生物学的さらに遺伝学的に追究することが本研究の目的である。 この課題を遂行する為の実験系の立ち上げを行い以下の研究実績を得た。 グリオーマ由来のがん幹細胞の取得、培養また三次元スフェア(細胞塊)培養の確立を行った。腎癌由来の細胞株を用いて揮発性吸入麻酔薬としてイソフルラン・セボフルラン,静脈麻酔薬としてプロポフォールへの暴露、がん組織の表現型のアッセイ法の確立を行った。遺伝子発現の網羅的な検討はRNA-Seq法で行いその解析法を確立した。麻酔薬によるエピジェネティック修飾についてはDNA試料中のメチル化シトシン(5-mC)の総量を定量できるキット、DNA試料を捕捉後,メチル化DNA特異的抗体と発色または蛍光基質を用いて解析する方法を用いてDNAのメチル化の定量、ヒストン修飾抗体(アセチル化,メチル化,リン酸化)を用いたウエスタンブロット解析とクロマチン免疫沈降法を用いたヒストン修飾の解析の予備実験をおこなった。 腎癌を用いた研究については学会発表を行い論文として取りまとめて公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が順調に進みグリオーマ由来のがん幹細胞の取得、培養また三次元スフェア(細胞塊)培養の確立を行った。腎癌由来の細胞株を用いて揮発性吸入麻酔薬への暴露、がん組織の表現型のアッセイ法の確立を含む実験系の確立をほぼ終えることができた。 その結果を論文として公刊することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で確立した方法をグリオーマ由来のがん幹細胞に適応してin vivo (Xenograftモデル), ex vivo (試験管内スフェロイド培養), in vitro (試験管内単細胞培養)条件下で麻酔薬の影響を検討する実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
配備済みの機器等を使用するなど必要に応じて無駄のない研究費の執行に努めたため、当初の見込み額と当年度の執行額に差額が生じた。また旅費の執行を取りやめたため未使用額が生じた。
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