くも膜下出血 (Subarachnoid Hemorrhage; SAH)は、脳卒中における突然死の最大の原因である。近年の高齢化にともないSAHの発症年齢も上昇しつつあるが、高齢者では根治治療の適応となっても併存症や予備能の点から周術期管理に難渋する場合も多く、その予後は極めて不良である。これらの問題を解決するためには、高齢者の脳の脆弱性を視野に入れた循環動態の把握とそれに対する有効な神経集中治療法の確立が求められる。 本研究では、高齢者および認知症に関する動物モデルを用いて、SAH直後の脳循環動態の無侵襲リアルタイムイメージングを導入し、老化脳の可塑性・脆弱性を踏まえた超急性期SAHの病態解明に迫る。次にDCIと機能予後の規定因子となり得る、SAH後のEBIに起因した簡便なバイオマーカーを検索するとともに、発症前および周術期の脳保護効果をもたらす薬物療法につき検証する。研究は、SAH動物モデルを用いて、SAH直後の脳循環動態・酸素代謝の無侵襲リアルタイムイメージングを導入し、老化脳の可塑性・脆弱性を踏まえた超急性期SAHの病態解明に迫る。 当該年度は、SAH超急性期の脳循環動態の分析を目的とした実験条件の設定と安定したデータ採取に専念した。研究では、促進老化・短寿命を特徴とする老化促進モデルマウスを使用予定とし、その予備段階として通常発達マウスを用いた実験条件の設定を行った。SAHモデルは既に確立している方法である、血管内穿通法を用いた。 本年度は脳循環動態について安定した撮像の確立を目指すとともに、心機能や肺水腫を同時収集するプロトロールを設定した。
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