研究課題/領域番号 |
18K08883
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 正周 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40463997)
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研究分担者 |
小屋 俊之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90444158)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インフルエンザ肺炎 / 迅速検査 / サイトカインパネル |
研究実績の概要 |
インフルエンザの診療において、重症肺炎は予後を左右する重大な合併症である。肺炎の重症化には宿主の過剰なサイトカインが関与することが知られているが不明な点が多い。一方、日常診療でインフルエンザの早期診断のために頻用される迅速検査の診断精度は必ずしも満足できるものではなく、特に偽陰性がしばしば問題となる。また、インフルエンザA/H1N1pdm09によるウィルス性肺炎は宿主の過剰な免疫応答によるサイトカインストームに起因すると考えられているが、種々のサイトカインがバイオマーカーとして実地の診療に応用可能か否かについての検討は、まだ十分でない。本研究では、迅速検査が陰性のため診断困難なインフルエンザ肺炎を早期診断し重症化を阻止すること、さらにはサイトカインパネルを用いて重症化に寄与する因子を見出すことを目標とする。 新潟大学医歯学総合病院とその関連病院を受診し、発熱や呼吸器症状とともに胸部CTで両肺に浸潤影またはすりガラス影を認める症例を対象とする。まずは上気道検体(鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、咽頭拭い液)および下気道検体(喀痰または気管支肺胞洗浄液)を採取し、迅速検査を行う。上気道検体で迅速検査陰性であっても下気道検体で迅速検査陽性になる例が少なくないと予想され、下気道検体がすぐに採取されれば受診当日にも抗インフルエンザ薬の恩恵を受けることができ、重症化への進展予防、死亡率の低下に寄与することが期待される。続いて、ウィルス学的検討、サイトカインパネル解析を随時行う。サイトカインパネルにより、H1N1pdm09による重症肺炎例において、重症化に関与するサイトカインが明らかになれば、そのサイトカインに対する分子標的薬や除去カラムの開発により、H1N1pdm09による重症肺炎の予後を改善することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨シーズンはインフルエンザ肺炎症例が全国的に少ない傾向であり、症例集積が予想より下回っている。
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今後の研究の推進方策 |
インフルエンザ肺炎が少ないシーズンは、より広く症例集積を呼びかけ、必要な検体の確保に努める必要がある。 引き続き、症例集積を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の集積が遅れたため、消耗品やサイトカインパネル等に要する物品費が予定より少なかったため。
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