近年地球温暖化とその対策が地球規模で論じられているが、それに伴い我が国でも熱中症の患者数は年々増加している。特に重症の熱中症では現在のところ対症療法しか方策はなく、致死率も高いため有効な治療法の探索は喫緊の課題である。 我々はラットの熱中症モデルを開発し、多臓器不全に至る原因の一端が敗血症と同様の血管内皮障害であることを報告した。今回の研究では強力な還元物質である水素ガスに注目し、水素が血管内皮の保護作用を有するかを調べた。機序を明らかにするまでには至っていないが、水素ガスは血管内皮障害を抑制し、ラット生存率を改善した。熱中症の新たな治療法の開発につながる成果を得ることができた。
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