高齢者の脆弱性の指標である臨床フレイルスケール(CFS)が救急集中治療後の予後(6か月後の死亡率)とQuality of life(QOL)に及ぼす影響について分析した。 前向き多施設共同研究として、2019年11月から2020年4月までの間に参加施設(19病院)の救急外来を受診した65歳以上の患者で直接ICUに入室した患者を対象とした。集中治療室入室時に本人または代理人から聞き取りを行い、CSFをスコアリングするとともに患者の基本情報、入院後の治療内容や重症度の評価に必要なデータを収集し、退院後に転帰やQOLなどについて調査した。 日本国内の参加施設から955症例の登録があった。そのうち653症例について6か月後生存率の調査が可能であった。主要アウトカムであるCFSごとの6か月後死亡率と調整オッズ比(AOR)はCFS1の6.2%を基準としてそれぞれCFS2: 13.6%(AOR 2.2)、 CFS3: 11.3%(AOR 1.2)、CFS4: 27.3%(AOR 3.3)、CFS5: 31%(AOR 3.5)、CFS6: 33.9%(AOR 3.0)、CFS7: 34.9%(AOR 4.1)、CFS8: 69.2%(AOR 10.3)であり、年齢や重症度で調整した後もCFSが高くなると予後は悪化した(独立した予後規定因子)。副次アウトカムであるQOLについても同様にCFSが高くなるとQOLは悪化した。 本研究によってCFSごとの6か月後死亡率が明らかとなり、CFSが救急集中治療の予後やQOLを予測する有用な指標であることが示された。高齢者に対する救急集中治療導入時にCFSを用いた予後予測を行い、本人の意思や家族の希望と併せてより効果的な治療導入のための方針決定に役立てられることが期待される。
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