研究課題/領域番号 |
18K08888
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
細川 康二 広島大学, 病院(医), 講師 (70568188)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 敗血症性脳症 |
研究実績の概要 |
敗血症性脳症の機序解明を大テーマとして3つの研究に取り組んでいる。 1.敗血症モデルマウスによる基礎的研究:LPS投与敗血症モデルマウスを用いて、脳組織(特に海馬)の組織学的変化を観察している。ミクログリア活性化をIBA-1による免疫染色にて証明した。これ以外に、うつモデルで異常を示すミトコンドリア機能タンパク(18 kD translocator protein, TSPO)の発現量を免疫染色にて観察し、予想通り、発言増加の結果を得た。行動実験によっても、LPS投与により行動抑制が明確に示されたことで、これらの結果をまとめた論文を執筆中である。さらに、同モデルマウスでの次の研究を開始中である。集中治療室や救命救急センターでの重症患者の治療中、dexmedetomidineがせん妄の予防や発生抑制に使用されているものの、脳生理学上の作用機序は正確にはわかっていない。青斑核のドパミンニューロンに着目し解析を開始した。 2.DPCデータベースを用いた疫学研究:敗血症性脳症をDPCで選別する手法が明確でなかった。その状況でDPCを用いた研究者との関係を新たに構築し、手法を学ぶこととした。扱いやすい対象として、死亡率も高く救急疾患として重要な急性心筋炎を取り上げた。予後に関わる因子が病院あたりの症例数であることを示した。現在論文投稿中である。 3.臨床における研究:敗血症性脳症では脳波異常が生じるとの仮説で、脳波データを収集し機械学習による解析を加える計画である。しかしながら脳波データを簡易に取得するシステムの確立に時間がかかり2020年4月以降のデータ収集開始となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
基礎研究については、期待していた根幹のデータは収集できたが、論文の記載に必要なデータ数を得るために時間が必要である。DPCを使った研究は、論文投稿時期がずれこんだため、敗血症性脳症に関する研究が部分的にしか開始できていない。臨床での脳波収集は、脳波計のセッティングが2020年3月までかかったために遅れていた。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験は、本年度中の論文投稿を目指しているが、およそ達成可能と想定している。DPCを用いた研究は、夏ごろには本体データの解析を行えると考えており、論文執筆を完了し、冬には投稿したい。臨床の脳波データは本年収集を進めるが、機械学習に導入して結果を得られるまでに時間を要する可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目の使用量が少なく、2年目に繰り越しが多かった。1年目は、転勤して早々であり研究計画を実行するに至らなかったことが、使用量が少なかった理由であった。2年目であった令和元年度は3年の中間年であり、必要な高額器具を購入した。マウスや抗体など消耗品も研究に必要な量を使用してきた。それにも関わらず、1年目からの繰り越しが多かったため、若干の繰り越しが生じた。 次年令和2年度が最終年度となる。現在進行中の動物実験とさらに始めた研究もあるため、計画的に使用していきたい。
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