研究実績の概要 |
2020年度は、ラットの急性一酸化炭素(carbon monoxide, CO)中毒モデルの脳組織の解析および、水素ガス投与の効果の検討を行った。 CO中毒作成後のラットの脳組織でオリゴデンドロサイトにおける酸化ストレス傷害とアポトーシスの検討を行った。酸化ストレス傷害は脂質過酸化物質であるマロン酸アルデヒド(malondialdehyde, MDA)をマーカーとした。CO中毒作成後のラットの脳梁部において、オリゴデンドロサイトに一致して、MDAの発現を認めた。またMDAの発現は、CO中毒作成後1日目に多く、3日後、5日後と減少を認めた。7日後、14日後にはMDAの発現が増えていた。 アポトーシスの評価として、activated caspase-3をマーカーとして用いた。CO中毒作成後のラットの脳梁部において、オリゴデンドロサイトに一致して、activated caspase-3の発現を認めた。またactivated caspase-3の発現は、CO中毒作成後1日目に多く、3日後、5日後と減少を認めた。7日後、14日後にはMDAの発現が増えていた。 CO中毒後の治療群として、水素ガス投与群の検討を行った。水素ガスは2%の濃度を用いて、CO中毒作成後に24時間ラットに吸入させた。水素ガス投与群の脳梁部におけるMDAならびにactivated caspase-3の発現は有意に抑制されていた。 CO中毒後の水素ガス療法により、オリゴデンドロサイトの酸化ストレス傷害およびアポトーシスが抑制され、水素ガス療法による脳保護作用が明らかになった。
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