研究課題/領域番号 |
18K08893
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
蒲原 英伸 東京医科大学, 医学部, 教授 (90398222)
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研究分担者 |
江嶋 正志 熊本大学, 病院, 助教 (20718316)
早田 学 熊本大学, 病院, 助教 (30646120) [辞退]
鷺島 克之 熊本大学, 病院, 講師 (40336235)
徳永 健太郎 熊本大学, 病院, 助教 (50751335)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | microRNA / Sepsis / SIRS / Inflammation / microRNA-21 |
研究実績の概要 |
敗血症は治療のタイミングを逸すると死に直結する疾患である。敗血症診療はSSCG(Survival Sepsis Campaign Guideline)の啓蒙により改善傾向にあるが、敗血症性ショックの死亡率は未だ30%を超える状況にある。これまで、サイトカインやメディエーターなどの種々の分子の同定及び標的治療などの臨床研究は行われてきたが、有効なものは未だ認めない。我々はmicroRNAの生物学的な多様性に着眼して解析を進めてきた。PDCD-4(Programmed Cell Death-4)は食道癌に対して抑制的に作用するが、miR-21はPDCD-4の発現を負に制御することにより食道癌の進展に寄与することを報告した(CCR6,2009)。miR-21の発現は血清中のExosome内にも認められ、血清を介した周囲環境および生体全体との相互関係が存在する可能性を指摘した(Cancer 2013)。一方、PDCD-4が 炎症反応に対して抑制的に作用することが明らかになり(Nature Immunol 2009)、miR-21がPDCD4-NFkappaB経路による急性炎症を制御する可能性とPTEN-Akt経 路による臓器傷害を予防できる可能性を明らかにすることを目的としている。敗血症の患者血清中のmiR-21の測定と全身の重症度との関係を検証中である。またmiR-21が敗血症による炎症の治療薬として意義を検証するために、特に好中球や単球などによる自然免疫における炎症制御に着眼する。単球由来細胞株のTHP-1細胞や全骨髄球由来の細胞株のHL-60細胞を用いて、LPSなどのPAMPSやHMGB-1などのDAMPSによる刺激に対するサイトカイン産生能を評価し、 これがmiR-21により制御可能かどうかを検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ICUにおける敗血症患者の臨床情報を集積中であるが、COVID-19対応などにより臨床業務量が増加により、研究進捗が若干遅れている。臨床検体が十分確保できないため、白血球の代替細胞としてのTHP-1やHL-60培養細胞に限定とした解析が主体としている。LPS刺激など菌体成分を用いて、microRNA-21やサイトカインの発現制御の関連性を検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、in -vitroのdataを集約していく。培養細胞(THP-1, HL-60)を用いて、LPSやHMGB-1による刺激によるサイトカイン産生を基盤として、microRNA-21及びそのinhibitorによる影響を明らかにしてい く。また、患者血清から採取した血清からExosomeを分離し、miR-21の発現状態を認識した上での miR-21のInhibitiorによるサイトカイン産生活性に与える影響 について、培養細胞(THP-1, HL-60)を用いて検証する。さらに、PDCD-4, PTENとの発現の関連性について検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Sepsisの症例の集積数の不足により、解析用のSamplingの確保が難しかったため、次年度使用が生じた。したがって、In-viroの解析が主体となり、白血球由来の培養細胞を用いて、Sepsis modelとしての培養液中に細菌細分を添加し、microRNA-21を主体とした解析を行なっているため、次年度に解析費用として使用する。
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