研究課題/領域番号 |
18K08897
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (50295789)
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研究分担者 |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳虚血 / スーパーオキサイド / SOD |
研究実績の概要 |
スーパーオキサイド発生環境においてラット海馬SOD活性がいかなる影響を受けるのか検討した。具体的にはスーパーオキサイド発生環境下に1-7日間飼育し、暴露後断頭し海馬を取り出し海馬SOD活性を測定した。また、1週間暴露後から1-7日間でSOD活性がどのような経緯をたどるか観察した。スーパーオキサイドは発生環境においてはラット海馬SOD活性は暴露時間とともに低下してくることが分かった。暴露終了後数日間かけてSOD活性は回復してくることも分かった。暴露終了後約1週間で基準値に回復した。スーパーオキサイド暴露にて一時的にSOD活性が低下することは予想していたが、暴露中は継続的に活性が低下しその回復に1週間を要することは予想外であった。今年度は暴露中止後にSOD活性がどのように変化するか観察したが、暴露中止3日後にSOD活性は約1.5倍ほど上昇したが、そののち低下に反転し1週間後には基準値を大きく下回った。この結果を踏まえ今回スーパーオキサイド暴露1週間を行い、その直後3日後、1週間後に虚血負荷を行い高次機能評価(Water maze)と組織学的評価(虚血後ダメージを受けた神経細胞鵜の割合)を調査した。この結果は検討中である。スーパーオキサイド発生環境下における虚血が海馬に与える影響を検討していく予定である。スーパーオキサイド発生装置は空気清浄機などにも応用されており人体への影響も今後考慮するためにも当該実験は価値があるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットの両側総頚動脈結紮+低血圧負荷モデルの確立にやや時間がかかっている。具体的には適切な虚血時間と低血圧負荷により海馬神経細胞の8割程度の神経細胞死を目標としているが、虚血時間か低血圧負荷か、または両方の負荷が強いためか虚血後直後のラット自身の死亡率が上がってしまった。そのため適切な虚血負荷環境の構築に時間がかかってしまっている。しかしながら適切な条件を見出せたため本年度は実験が加速している。実験を優先したため解析はまだ行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
現実験の解析を急ぐとともに、通常環境下に飼育したラットに虚血負荷を与えた状態でスーパーオキサイドリッチ環境が脳虚血障害に与える影響をSOD活性、高次機能、組織学的変化共に検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に入りCOVID-19関連の諸事情により実験を中断したことがあったことと、虚血実験の費用が当初予想くしていたより安価に済んだため次年度使用額が生じたと考えている。これらは再実験のSOD測定費用や遅れている分の研究費に相当する。
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