スーパーオキサイド暴露後にラット海馬におけるSOD活性が変化することは前年度の実験を確認した。SODはフリーラジカルからの障害を軽減する働きがあるため、スーパーオキサイド孵化後にSODがアップレギュレーションしている場合、フリーラジカルが増加するような状態、つまり虚血再灌流時に組織障害が軽減される可能性がある。我々の実験結果に基づきスーパーオキサイド発生環境にラットを1週間暴露しその直後3日後、1週間後に虚血負荷を行い高次機能評価(Water maze)と組織学的評価(虚血後ダメージを受けた神経細胞の割合)を調査した。全前脳虚血後4日目より水迷路負荷を行いどのような回復過程が生じるか観察した。1週間後の水迷路負荷の後、全身麻酔下に全身ホルマリン固定を行い脳を取り出した後脳切片を作成しHE染色にて海馬における神経細胞の生存割合を計測した。スーパーオキサイド負荷によりプレコンディショニング効果は顕著ではなかった。予想とは逆に虚血後のスーパーオキサイド負荷は脳障害を悪化させる可能性が示唆され、組織学的にも行動学的にもその傾向はみられるようである。現在この研究はいまだ進行中である。スーパーオキサイド発生装置は空気清浄機などにも応用されており人体への影響も今後考慮するためにも当該実験は価値があるものと考えられる。
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