研究課題/領域番号 |
18K08900
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藍 智彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (00570128)
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研究分担者 |
森 周介 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20362072)
赤松 和土 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60338184)
田部 陽子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70306968)
三井田 孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80260545)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | てんかん / 心電図 / 遺伝子 / 突然死 / 脳疾患 |
研究実績の概要 |
目的:本研究は、(1)てんかん患者に於いて、心電図変化が、発作の予後予測因子として使用できるかを検討する事、(2)てんかん関連遺伝子の網羅的検索を行う事を目的としている。 研究成果: (1) 心電図のてんかん発作や予後予測因子としての有用性: 後ろ向き研究で、てんかん発作のため救急搬送された約150名で、発作後の心電図を調査した。従来、てんかんを有する患者に於いて、心電図異常が観察されたという報告がある。我々の調査では、脳卒中、脳腫瘍、外傷後など脳器質的疾患の既往がある患者群では、器質的疾患のない患者群に比し、心臓突然死のリスクマーカーであるQT時間延長が認められた。また、数名の患者が、右脚ブロックとST上昇という変化を示した。この変化は、従来、心臓突然死のリスクマーカーである可能性が議論されている。興味深いことに、我々が調査した患者では、てんかん発作時に致死性不整脈を併発していた患者はいずれの群にも認めなかった。引き続き、症例の蓄積と追跡調査を図る。 (2) 遺伝子検査: 前向き調査開始後、てんかんで搬送時に心電図異常を示す患者が少なく、またCOVIDの影響で一般救急がほぼ停止したため、2020年度は遺伝子検査が少数にしか行えなかった。2020年度以前に検出した、難治性てんかん関連遺伝子DEPDC5のヒトiPS細胞モデルの作成を進めている。2020年度は、ヘテロノックアウトモデルを作成し、機能試験を行っている。引き続き、ホモノックアウトモデルを作成する予定である。また、てんかんと関連のある認知症患者の遺伝子解析を行い、心臓不整脈や神経成長に関連する遺伝子の変異が検出され、今後、iPS細胞を用いたモデルの構築を計画している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年初頭より、COVIDの為、東京医科歯科大学病院での一般救急受け入れが滞り、COVID専門化してからは、完全に患者リクルートが停止した。また、機能実験を行う順天堂大学でも、重なる緊急事態宣言の為、実験が中断となり、iPS細胞の細胞培養が一時不可能となった。再開後も現状復帰できていない。現在、2019年度以前の検体や医療情報を使用して、研究の継続を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度までに集めた検体を利用し、遺伝子情報や臨床情報の再解析を行う。可能な限り、iPS細胞の培養再開を進め、挽回を図る。また、可及的速やかに解析できた遺伝子変異を用い、機能試験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
東京医科歯科大学病院に於いて、COVIDの影響で、一般救急が停止した為、患者リクルートが激減した。また、順天堂大学でも、緊急事態宣言等の影響で実験が凍結され、その後も大幅に遅延している為。 次年度は、患者リクルートでき次第、遺伝子検査を継続する。また、現在までに検出した遺伝子変異について、iPS細胞のゲノム編集を進め、機能試験を行う。
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