研究課題/領域番号 |
18K08902
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
岩田 充永 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10799464)
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研究分担者 |
八谷 寛 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30324437)
寺澤 晃彦 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30399597)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高感度トロポニン / 非ST上昇心筋梗塞 / 診断精度 / システマティックレビュー |
研究実績の概要 |
一次研究についてはADVIA高感度トロポニン(hscTn)を使用し、非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)が鑑別となる合計754人(平均年齢:71歳)で連続hsTnI検査(0h/1hアルゴリズム)を評価するパートを終了した。併存疾患は高血圧(59%)、脂質異常症(33%)、糖尿病(24%)であった。NSTEMIの有病率は7.4%で、0h/1hアルゴリズムの感度および陰性予測率は100%であり、陽性予測率は37.1%、特異度は79.6%だった。これらのデータから、ADVIA高感度トロポニンを使用した0h/1hアルゴリズムは救急外来を受診したNSTEMIが疑われる日本人患者のトリアージにも安全で効果的なツールである可能性が示唆された。 システマティックレビューについては2006年1月から2020年8月の間に全世界で発表された研究を電子データベースで検索した。救急外来でNSTEMIが疑われる患者に連続hscTn検査を使用し、診断精度を評価した研究を採用した。主にヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアの研究センターから発表された68件の研究を採用した。アボット社(33/68)とロシュ社(39/68)のhs-cTnアッセイが大多数で採用されていた。65件の研究(96%)ではデータは前向きに収集されたが、そのうち40件の研究(59%)で血液サンプルの欠落または最終診断の欠如により、適格者の1%~90%が解析から除外されていた。異なるアッセイ間で精度を直接比較したのは13件の研究(19%)のみだった。研究から除外された適格患者の割合は多様であり、研究結果を実施診療に直接適用する懸念が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
投稿論文が査読後リジェクトされるなど、現在研究の遅れがあり、追加解析と修正を行っている。一次研究のADVIA高感度トロポニンの精度については参照基準(ゴールドスタンダート)が採用されていない参加者が多数あり、問題と考えられた。潜在クラスモデル等で補正解析を行い、最終的な結論を決める予定である。システマティックレビューについてはスコーピングレビュー部分は査読時のリジェクト内容を十分精査し、再投稿の予定である。0h/1h-, 0h/2h- , および0h/3h-プロトコールにおける診断精度の直接比較研究については、アッセイ、タイミングなど単純に統合するには問題が確認された。精度の相互比較についてネットワークメタ解析を実施して全体性の面から対応予定である。解析終了次第論文化予定である。
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今後の研究の推進方策 |
一次研究については参照基準が全員に実施されておらず、部分確認バイアス・分別確認バイアスが生じる懸念がある。バイアスへの対応については潜在クラスモデル分析(不完全参照基準の側面から対応)、逆確率補正等(欠落データの側面から対応)を実施し、これらに可能な範囲で対応する予定である。 スコーピングレビューについては本研究班の結論に至る論調が批判的過ぎる内容であった可能性がある。一次研究のリミテーションは適切に指摘しながら、現状を理解し、今後の研究の方向性に有益となる示唆を考察に加えて再投稿とする。 直接比較のデータについてはアッセイ、タイミングから統合する要素が複雑になっている。同時解析が可能であるよう最新のネットワークメタアナリシスモデルを利用し、全体性を重視する側面から対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際間共同研究を行っている英国エクセター大学Peninsula Technology Assessment Groupへの訪問はCOVID-19感染症の関連で訪問再延期となった。関連する旅費予算が未執行の状態となっている。こちらについては感染収束状況を適切に確認後、訪問を予定している。論文がリジェクトされており、出版費用が未施行のままとなっている。論文受理後使用予定である。
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