研究課題/領域番号 |
18K08903
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
戸村 哲 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 准教授 (00365636)
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研究分担者 |
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 教授 (90531632)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 頭部外傷 / 二次性脳損傷 / 活性酸素 / 水素 / 高気圧療法 |
研究実績の概要 |
頭部外傷における二次性脳損傷の原因のひとつである活性酸素に対して、きわめて強力な抗酸化作用を持つ水素分子は、活性酸素の作用を抑制し、さまざまな病態において治療効果を発揮する可能性が指摘されている。しかしこれまでのところ、その臨床的な有用性は確認されていない。この原因として、従来の方法では生体内で十分な作用を発揮できるだけの水素投与法としては不十分であった可能性が考えられる。そこで本研究では、効率よく水素の生体内作用を引き出す可能性を検証するために、頭部外傷実験モデルに対して高気圧条件下に水素を投与した際の二次性脳損傷抑制効果を検討することを目的とした。 Controlled Cortical Impact(CCI)装置を用いてマウスの中等症頭部外傷モデルを作成し、動物実験用高圧タンク(バロテックハニュウダ製P5100-S)内で2気圧水素ガスに90分間暴露した。受傷24時間後に脳を摘出し、乾燥重量法にて脳浮腫の程度を評価したところ、非治療群に比較して有意に脳浮腫の軽減効果が認められた。病理学的検討として、Nissl染色、免疫蛍光染色(GFAP/Iba-1)を行い、受傷側海馬CA3領域にROIを設定し、Nissl染色では神経細胞数を、免疫蛍光染色では陽性細胞の面積率を検討した。Nissl染色ではday28で錐体細胞数の減少が有意に抑制されたが、免疫蛍光染色ではいずれのタイミングにおいても統計学的有意差を認めなかった。行動実験では、オープンフィールドテスト、Y迷路試験とも高気圧水素投与による改善傾向は認められたが、統計学的有意差が得られたのは14日目の多動抑制のみであった。これらの結果は、水素を大気圧で投与した結果とほぼ同等であった。 当初、高気圧環境が有利に作用するという仮説の元で研究を開始したが、本研究では高気圧水素投与の有用性を示すことはできなかった(英文学術誌に論文投稿中)。
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