研究課題/領域番号 |
18K08904
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
京極 都 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 集中治療科・医師 (00795445)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胸腔内圧 / 中心静脈圧 / 食道内圧 / 急性呼吸不全 / 呼吸仕事量 / モニタリング |
研究実績の概要 |
自発呼吸努力の大きさを評価するためには、胸腔内圧の変化 (Δ胸腔内圧) の測定が必要である。臨床的には、食道内圧をバルーンカテーテルで測定しΔ胸腔内圧の代用として用いる方法が一般的である。しかし、食道内圧測定は高価で、位置の調整やバルーン量の調整もむつかしいことからあまり普及していない。そこで、本研究では、中心静脈圧(CVP)波形を簡単な方法で補正することで、バルーンなしで自発呼吸中の呼吸努力の大きさを類推できるという仮説を動物実験で証明することを目的とした。 補正方法は以下のとおりである。気道を閉塞したときには、肺の容量が変化しないために、外的な胸郭の圧迫による胸腔内圧の変化はそのときの気道内圧の変化と一致する。そこで、気道閉塞時のCVPの変化と気道内圧(つまり胸腔内圧)の変化の比率を求め、それが短時間の間では一定であるとすれば、CVP波形から胸腔内圧の変化を類推することができると考えた。本補正法は、当研究グループから筋弛緩状態の調節呼吸を受けているブタにおいて、先行研究が行われ、そちらは、データ収集が終了し、現在論文作成中である。 本実験は、酪農大学で行った。2018年度中に11頭のブタを用いた(うち9頭は、先行研究と同時に行った)。全身麻酔・挿管・自発呼吸管理下におかれたブタを用い、食道内圧測定のために食道にバルーンカテーテルを挿入し、胸腔内圧の実測のために圧測定カテーテルを胸腔内に直接挿入し、それらを気道内圧と同時に測定した。まず、呼吸障害モデル作成のために、肺洗浄を行い、その後、気道閉塞法施行時のCVPと気道内圧の変化(= 胸腔内圧の変化)の比率を補正係数として求めた。自発呼吸下でPSレベルを3通りに変化させ、それぞれの条件下で、補正係数を用いCVPから胸腔内圧を予測した。それを同時に測定した食道内圧や胸腔内圧から求める経肺圧と比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目でデータ収集を終え、2年目で解析を行い、3年目で発表、論文化を行う予定である。1年目では予定通りにデータ収集を終え、現在解析途中である。 同時に、胸腔ドレナージの陰圧が食道内圧に与える影響について調査し、それについては2019年度に学会発表予定であった。コロナのため、学会が中止となったが、現在論文を執筆中である。 現在コロナの影響で、情報収集、議論が容易にはできなくなっており、さらに臨床が多忙となっており、予定通りに解析を進めることができていないのが、やや遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、得られた情報のデータ解析を引き続き行い、様々な呼吸仕事のパラメータを計算し、われわれの方法で得られた胸腔内圧の変化値と、食道内圧の変化値、実測した胸腔内圧を比較していくことを目標としている。 コロナが終息すれば、共同研究者とともに、解析を早急に行い、同時に学術集会での情報収集を行い、2020年度中に、学会発表・論文作成に取り組むことが見込まれる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染防止対策で学会が中止になったため、旅費参加費を次年度の学会参加や物品購入等に充てていく予定である。
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