研究課題
自発呼吸努力の大きさを評価することは重要である。その評価には、胸腔内圧の測定が必要で、食道内圧をバルーンカテーテルで測定し胸腔内圧の代用として用いる方法が一般的である。しかし、食道内圧測定は特別なデバイスを必要とし、位置の調整やバルーン量の調整も難しいことからあまり普及していない。本研究では、中心静脈圧(CVP)波形を簡単な方法で補正することで、食道内圧測定なしに自発呼吸中の呼吸努力の大きさを推定することができるという仮説を動物実験で証明することを目的とした。本補正法は、当研究グループから筋弛緩状態の調節呼吸を受けているブタにおいて、先行研究が行われ、論文投稿されている(PMID: 38224398)。本実験は、酪農大学で行った。全身麻酔・挿管・自発呼吸管理下におかれたブタを用い、食道内圧とCVPを気道内圧と同時に測定した。まず、呼吸障害モデル作成のために、肺洗浄を行い、その後、気道閉塞法施行時のCVPと気道内圧の変化(= 胸腔内圧の変化)の比率を補正係数として求めた。気道閉塞モデルと腹腔内圧上昇モデルを作成し、さらに自発呼吸下でPSレベルを3通りに変化させ、それぞれの条件下で、補正係数を用いCVPからを予測した。それを同時に測定した食道内圧とRepeated measurement ANOVAと、Bland -Altman分析を用いて比較した。食道内圧とCVPから補正して求めたPplの平均値および標準偏差は、-9.7±6.6および-9.5±6.5cmH2Oで、Bland-Altmanでは、偏りが-0.3、精度2.6 cmH2Oであった。よって、我々の補正方法により自発呼吸努力の大きさを食道内圧カテーテルを用いずに、食道内圧と同等レベルで評価することができることを示すことができた。2024年3月にISICEMにて学会発表を行い、現在論文作成中である。
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Intensive Care Med Exp
巻: 12 ページ: 4
10.1186/s40635-023-00590-8.