研究実績の概要 |
本研究では、外傷急性期の線溶抑制の機序とタイミングを明確にすることを試みる。線溶反応の活性化機構の中心はtissue-Plasminogen activator (t-PA)とplasminogen (Plg)であり、抑制機構の中心はα2-plasmin inhibitor (α2-PI)とplasmin activator inhibitor-1(PAI-1)である。これらの物質のバランスで線溶反応の状態が決定されるため、本研究計画のメインターゲットとする。 我々が、これまでの研究で用いてきたラットのドラムショックモデルは、回転するドラムの上から下へラットが繰り返し叩きつけられ全身打撲を生じるモデルであり、ドラムの回転数によりその重症度を定量化することが可能なモデルである。鈍的外傷の特徴である著明な組織損傷を定量的に作成できる (Hayakawa M, et al. Shock 2014)。鈍的外傷の重症度を軽症(250回転)と重症(500回転)に調整したモデルを作成し、気管切開、頸動脈/静脈へのカニュレーションを行い、経時的な採血と臓器採取を行い、以下の項目を検討課題として設定した。①血漿中の線溶反応関連因子の抗原量と活性値の変動②血小板内のPAI-1抗原量と活性値の変動③臓器全体としての抗原量と活性値、mRNAの発現の変動④トラネキサム酸の影響 本検討では、外傷導入後長時間の観察が必要であるが、観察期間中にラットの血圧等を維持することが困難であった。現在、輸液負荷等による対応で、長期間の観察が可能となったモデルを確立することが出来、サンプリング中である
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