研究課題/領域番号 |
18K08907
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 浩二 東北大学, 大学病院, 准教授 (10359515)
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研究分担者 |
山田 充啓 東北大学, 大学病院, 助教 (00396483)
武井 祐介 東北大学, 大学病院, 助教 (80822890)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 敗血症 / 血管内皮傷害 / 細胞外小胞 / 内皮微小粒子 |
研究実績の概要 |
敗血症患者のEMPsの動態に関する臨床研究の結果を示す。敗血症患者72名(敗血症29名、敗血症性ショック43名)、非敗血症患者30名のEMPsを測定した。Day1 VCAM-1+EMPを除き、day5まですべてのEMPsは敗血症患者で非敗血症患者に比較し、有意に上昇していた。内皮細胞間に存在し血管透過性に関与する内皮抗原であるPECAM+EMPsおよびVE-cadherin+EMPsはday5まで敗血症性ショック患者で有意に高かった。一方で、炎症により誘導される内皮抗原に関しては、day1のE-selectin+EMPsのみが敗血症ショックで有意に敗血症患者より高かった。またday1,2のPECAM+EMPs、day1のVE-cadherin+EMPs, E-selectin+EMPsは死亡患者で生存群より有意に高かった。敗血症患者ではEMPS数は上昇し、EMPs数の増加は敗血症の血管内皮傷害を反映することが示唆された。PECAM+EMPsとVE-cadherin+ EMPsは敗血症性ショックを呈した患者で有意に高く、ショックの指標になり得ることが示唆された。 培養したHUVECにTNF-αなどの炎症性刺激を加えるとEMPsの放出が促されることは報告していた。今年度は血管透過性を変化させることが知られている試薬による前処理をした後にTNF-αによる炎症性刺激を加えた。すると、血管透過性を低下させ血管保護作用を有するAngiopoietin-1、S1P、Prostacyclinによる前処理はTNF-αによるPECAM+EMPs、VE-cadherin+EMPsの放出を抑制した。また、TNF-αのEMPs放出にはapotosisの誘導が考えられており、抗apotosis作用を有するZ-VAD-FMKによる前処理を加えると、PECAM+EMPs、VE-cadherin+EMPsのみならず、E-selectin+EMPs、ICAM1+EMPs、VCAM1+EMPs全てのEMP放出を抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血管透過性とEMPs放出に関する研究を行なっていたが、この実験に必要なCorning社のコラーゲンコーティングのインサートウェルがメーカー側の都合により生産見合わせとなっており、当初の納期より大幅に納品が遅れ、現在も未だ納品されていいため。現在COVID-19の影響もあり納品時期は未定である。
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今後の研究の推進方策 |
納品が遅れているCorning社のコラーゲンコーティングのインサートウェルが納品され次第、血管透過性に影響を与える試薬のEMPs放出に与える影響と、実際の血管透過性の変化との関連について検証する。また、重症度を変化させたCLPモデルによりEMPsと臓器傷害の関係性を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
血管透過性の実験がメーカーの生産体制の問題で予定通り進行していなかったが、2020年4月より生産が再開されたため、この実験も再開可能であり、これに伴う試薬を購入しなくてはならない。またCLPモデルを用いた実験ではラットの購入費用およびラット用のEMPs測定のための試薬の購入費用も必要となる。また、研究成果の発表の場として国際学会を考えており、その旅費も必要となる。
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