研究課題/領域番号 |
18K08909
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
池内 秀和 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60420113)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | OGR1 / GPR68 / 肺腎関連 / 肺障害 / 腎障害 |
研究実績の概要 |
集中治療室領域における急性腎障害(AKI: acute kidney injury)は、腎代替療法の進歩に関わらず、その予後は不良である。特に、AKIに急性呼吸不全を合併した場合の予後は極めて悪く、その相関は肺腎関連として知られている。動物モデルでの観察ではあるが、ENaCやAQP-5といった細胞外液移動に関与する分子で、肺・腎両方に発現があるものが責任遺伝子の候補として挙げられている。今回我々は細胞外の低pH環境を感知するGタンパク質共役型受容体ファミリーのうち、Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1(OGR1)に注目した。OGR1は肺上皮細胞、尿細管上皮細胞の両者に発現していることが報告されいる。さらに、肺と腎の共通の機能の一つが生体内のpH調節に関わっている分子の一つであり、臨床上生体内のpH調節機構の破綻による生じるアシドーシスが生命維持機能の破綻に直結する点からも、肺腎関連の責任分子である可能性は高い。 腎障害モデルとして虚血再灌流モデルおよび一側尿細管結紮モデルを用いた予備実験の結果では、OGR1遺伝子の有無で腎障害に差はないことが判明している。一方でLPS投与によりOGR1遺伝子の有無で生存率に差が出ており、これにはLPSに対する肺障害の反応の差が寄与している可能性を考慮した。そこで、研究者は腎障害モデルを用いてOGR1遺伝子の有無により肺障害に差が生じるか、そのメカニズムも併せて解明することを計画した。本研究により新しい肺腎関連分子が同定され、将来的には新しい治療薬の開発につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度はOGR1のノックアウトマウスの供給が安定せず、実験に十分な量のマウスを確保するまでに時間がかかった。また、予備実験の段階では有意差を認めなかった虚血再灌流モデルでのOGR1ノックアウトマウスの腎障害の程度が、OGR1遺伝子の有無で異なる傾向であることが判明し、実験の調整を必要とした。
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今後の研究の推進方策 |
実験モデルを腎障害の程度が同様の腎摘出モデルに切り替える。また、OGR1遺伝子の有無により腎障害に差異がある可能性もあり、このメカニズムに関しても解析を加える。
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