研究実績の概要 |
本研究の目的は, 遺伝子多型解析において敗血症の重症化因子として同定された細胞外マトリックス SVEP1の敗血症における機能を明らかにすることである. マウスを用いて敗血症モデルを作成しSVEP1の生体内での動態の評価をすすめてきた. 野生型マウスにおいて, 盲腸結紮穿孔モデル(cecum ligation puncture: CLP)を作成し, コントロールの単開腹モデル(Sham)とCLP 2時間, CLP 6時間 CLP 24時間のモデルで心臓・肺・肝臓・脾臓・腎臓・小腸・大腸でのSVEP1の遺伝子発現とタンパク質産生を比較した. 結果, SVEP1遺伝子発現は肺や脾臓, 大腸で比較的で多く, タンパク質産生は, 肺や大腸においてCLP刺激により産生が低下する傾向がみられた. 肺ではSVEP1の遺伝子発現やタンパク質産生が多く, CLP刺激での変化も認められることから、肺を対象にフローサイトメトリーや免疫染色, in situ hybridizationを行い, さらにSVEP1の動態の解明を進めている段階である. また遺伝子多型モデルの作成も進めている段階である. ここまでの結果はまだ発表段階に至っていないが, 十分数の評価を行なった上で, 報告を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進めるにあたり必要とされる, 安定したCLPモデルの作成手技の確立や, 遺伝子発現の評価のためのqRT-PCR法の手技確立, タンパク賛成の評価のためのウエスタンブロッティング法の手技確立は完了した. また, 組織学的評価やフローサイトメトリーの手技も確立しデータは集積できている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として, 遺伝子多型モデルを用いた実験や, 細胞実験を検討している. 遺伝子多型モデルを用い, 敗血症刺激での生体反応の変化(生存率の差異/ 血管透過性の変化/Angiopoietinなどのmediatorの変化)を観察しSVEP1の機能解明を深めたい. また肺で発現や産生が多いことから, 肺の細胞を使用し, 細胞実験の系を確立し, 敗血症刺激での細胞の反応の差異を評価する方針としている.
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