| 研究課題/領域番号 |
18K08913
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| 研究機関 | 山梨大学 |
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研究代表者 |
針井 則一 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (80377522)
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| 研究分担者 |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
松田 兼一 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60282480)
宮坂 武寛 湘南工科大学, 工学部, 教授 (60308195)
森口 武史 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (60422680)
菅原 久徳 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70746776)
高三野 淳一 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70769281)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 液体呼吸 / ARDS |
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| 研究実績の概要 |
急性呼吸窮迫性症候群（ARDS; Acute Respiratory Distress Syndrome）は肺胞領域の非特異的な炎症によって，重篤な低酸素血症を呈する肺の炎症性疾患である．医療技術の発展に伴い様々な疾患の治療が進歩しているのにも関わらず，現在推奨されている人工呼吸療法はあくまでも支持療法であり，肺胞の障害および肺機能の低下を抑える治療法はなく，未だ高い致死率が報告されている．ARDSの病態には，炎症性サイトカイン増加、好中球の活性、浸出液の貯留が関与しており，これらの原因を直接的に除去する治療法の確立が期待されている．
完全液体換気 (TLV; Total Liquid Ventilation) は肺に対して液体を出し入れすることでガス交換を維持する人工呼吸法であり，ガスの代わりに液体を用いることで，①肺洗浄効果，②虚脱肺の再拡張，③圧損傷リスクの低減といった効果を得ることができる．TLVは呼吸不全の新たな治療法として確立が期待されているが，近年、液体材料の問題により研究が停滞している。そこで、我々は新たな材料として酸素マイクロ・ナノバブルを分散させた生理食塩水（MNB液）に着目し，新規TLVシステムの肺洗浄技術としての確立を目指している。
今回、エンドトキシン（LPS; Lipopolysaccharide）気管内投与による肺炎症モデルラットを用いて新規TLVシステムの肺疾患に対する有効性を評価した。LPS投与量を変化させることで①重度肺疾患モデルおよび②致死性肺疾患モデルを作製し，5分間のTLV肺洗浄を実施した。その結果、炎症物質投与20分後の介入により炎症の重度化および重度低酸素血症を抑制することができ、致死性の肺炎症モデルでは1週間生存率を0%から80%まで改善させることが確認された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症初期段階に対するTLV肺洗浄の有効性を証明することができたため．重症度の異なる2種類の肺疾患モデルを検討し，原因物質を洗浄除去することで重度呼吸不全を防げることを確認した．肺洗浄に要した時間は5分間だけであり，術後1週間後，ラットの肺機能および肺構造は正常であり，重度な副作用は確認されなかった．また，肺洗浄後肺サーファクタントの補填を行わずに，3時間の呼吸管理を行うことで，自発呼吸に復帰できることも発見した．炎症物質投与20分後，すなわち，ARDSの症状がでる以前の介入による治療効果ではあるが，TLV肺洗浄の有効性を示すことができたため順調に進んでいると評価できる。
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| 今後の研究の推進方策 |
大きく２つの方針があり，1つ目はLPS投与1日後の介入におけるTLV肺洗浄の有効性評価，2つ目はMNB液の改良によるTLV肺洗浄中の生理状態の改善，を検討していく予定である。1つ目の課題に関しては，肺洗浄時間の延長および術後の管理が重要な要素となる。2つ目の課題に関しては，MNB液中の酸素含量を増やすことでTLV肺洗浄中の酸素供給量を向上させることが重要な要素となる。また，肺洗浄液を評価することによって経時的な肺洗浄効果を定量的に示す方法も考えていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入にあたり納品が遅れたため、差額9,461円が生じました。
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