研究課題/領域番号 |
18K08916
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
今井 寛 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (00184804)
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研究分担者 |
川本 英嗣 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20577415)
島岡 要 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40281133)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ウェアラブルセンサー / SOFAスコア / 医療の質 / 医療従事者間コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究では、患者の重症度と相互作用の長さの関係が、ICUでの入院・治療期間中にどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。 日本の大学病院の開放型ICUにおいて、2016年2月19日から3月17日の間にプロスペクティブに収集したデータを分析した。ウェアラブルセンサーを用いて、ICU医療従事者間の対面でのやりとりに関する時空間分布データセットを収集した。76名のICUスタッフが参加し、データ収集期間の4週間で、各スタッフは平均160時間勤務した。患者のベッドサイドで行われたこれらのやりとりと、24時間ごとに評価された患者の重症度(SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコア)との経時的な関係を調べた。117名の患者がICUに滞在したDay1では、ピアソンの相関係数(R)が0.447(p<0.01)となり、相互作用の長さとその117名の患者のSOFAスコアとの間に統計的に有意な正の相関が認めらた。Day1からDay10までの間、退院や死亡によりICUに滞在する患者数(N=117、Day10ではN=10)が徐々に減少していく中で、Day2からDay6までは相互作用長とSOFAスコアとの間の統計的に有意な正の相関は消失したが、Day7(R=0.620、p<0.05)、Day8(R=0.625、p<0.05)で再び出現し、Day9とDay10で再び消失した。SOFAの6つのサブスコアすべてがDay1の相互作用長とよく相関していたのに対し、いくつかのサブスコア(凝固、心血管、中枢神経系のスコア)のみが相関しており、特にDay7とDay8のサブスコアが相関していた。これらの結果から、患者の重症度は、ICUのDay1およびDay7/8における医療従事者間の相互作用に時間的な関連性を持って影響する重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの新規知見を得られて論文作成済み。
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今後の研究の推進方策 |
さらに3年間のデータをまとめて論文作成中である。 今までは医療者間コミュニケーションと患者の予後に与える点について研究したが、今後は医療者間コミュニケーションが医療従事者の離職や満足度に与える影響について解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在1年分の結果をまとめて論文を作成した。 今後は3年分の結果をまとめ論文を投稿予定である。
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