研究課題/領域番号 |
18K08917
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川本 英嗣 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20577415)
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研究分担者 |
江口 暁子 三重大学, 医学系研究科, 特任助教(研究担当) (00598980)
島岡 要 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40281133)
高娃 阿栄 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50643805)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | トロンボモジュリン / エキソソーム / SIRS / Sepsis / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
敗血症の有望な治療薬候補であるトロンボモジュリンの潜在的治療効果を増強する「エキソソーム型トロンボモジュリン」の開発を目的とする本研究において、基礎的データを得るため、①HL-60細胞をPMAで刺激することでマクロファージへの分化を誘導し、上清から細胞外小胞エキソソームを分離した。さらにこの細胞外小胞にはTMが発現していることを確認した。 一方、培養細胞だけではなく、患者検体を用いて②敗血症患者および敗血症以外の重症患者の血症から細胞外小胞を分離した。重症患者の細胞外小胞表面にはインテグリンとPD-1リガンドが発現することを確認した。 特に、ICUに入室した敗血症患者の血漿から細胞外小胞を遠心分離により抽出し、細胞外小胞上の白血球特異的なβ2インテグリンの発現量が敗血症患者の重症度(低血圧や腎機能障害)と相関することを証明した。(E. Kawamoto, SHOCK 2018) さらに、SIRS状態の患者(外傷、熱傷、中毒など)の細胞外小胞のPD-1リガンド(PD-L2)の発現量が患者のリンパ球数と逆相関することも示し、SIRS患者における免疫麻痺の可能性について言及した。 また、細胞外小胞中のインテグリンをCRISPR/CAS9 systemでノックアウトすることでエキソソームのインテグリンの機能解析を行うことに成功した。(論文投稿中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞および患者検体から細胞外小胞の分離を確実に行えるようになった。特にSIRS, sepsis患者の検体から細胞外小胞を分離し、細胞外小胞表面の蛋白質(インテグリン、PD-1 リガンド)と患者の臨床症状とを比較した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれらの知見を元に、治療への応用を目指す。具体的にはTMノックアウト細胞を作成し、細胞外小胞の分離を行い、その機能の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用した消耗品の価格が当初の見積りよりも安く購入できたため次年度使用額が生じた。 残った金額は、引き続きエキソソーム上のTMの発現および機能解析のための試薬や消耗品に充てる。
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