研究実績の概要 |
目的)出血性ショックにおける腎における虚血再灌流障害の発生機序として、単球により産生されるTNF-αは重要な役割を果たすことが示されている。本研究で はTNF-αの転写因子のひとつであるEarly growth response factor(Egr)-1が、虚血再灌流性腎障害の発生にどのような役割を果たしているか明らかにすることを目的とした。 方法)Egr-1ノックアウトマウスおよびEgr-1 antagonist (PD98059)を用いて、腎虚血再灌流障害モデルにどのような影響を与えるかについて検討した。マウスを以下に示す4群に分けた。1)sham-operated group: wild typeに虚血再灌流を行わない群、2)control group: wild typeに虚血再灌流を行う群、3) knockout group:Egr-1ノックアウトマウスに虚血再灌流を行う群、4)antagonist group:wild typeにPD98059を腹腔内投与したのち、虚血再灌流を行う群。これらについてBUN, Cre, TNF, IL-6,HE染色の項目について比較検討を行った。 結果)1)BUN, Creはknockout groupおよびantagonist groupにおいてcontrol groupよりも有意に上昇した。2)HE染色ではrenal tubular necrosis score, Neutrophil accumulationは、knockout groupおよびantagonist groupにおいてcontrol groupよりも有意に高値を示した。 3)TNF,IL-6は、antagonist groupにおいてcontrol groupよりも有意に上昇した。 結語)Egr-1の抑制は、腎虚血再灌流障害を増悪させる可能性が示唆された。
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