研究課題/領域番号 |
18K08926
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
藤井 豊 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (20589303)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | V-V ECMO / 重症呼吸不全 / 体外循環 |
研究実績の概要 |
近年、補助循環法は循環器疾患のみならず重症呼吸器疾患まで適応を拡大しており、症例は急増している。特に近年、静脈から脱血を行い、人工肺にて酸素化したのち、再び静脈に送血する形式のV-V ECMO (Veno-Venous Extra-Corporeal Membranous oxygenation) が各種人工呼吸療法などで改善が見込めない呼吸器疾患に適応され注目を浴びている。しかし、この V-V ECMOは比較的新しい手技であり、臨床および基礎研究は世界的に見ても極めて少ない。このような背景のもと、小動物を用い呼吸器疾患モデルにV-V ECMOを導入し評価することで、回復機序を解明し、呼吸器疾患に対する適切な補助循環による治療法を提案することを目的に取り組んできた。 各年度ごとに課題を設けており、本年度は、ラットV-V ECMOモデルおよび呼吸器疾患モデルの確立を目標に研究を遂行した。成果として、実際にラットにV-V ECMOを導入することができた。動脈圧および心拍数のモニタリング、さらに血液ガス分析の結果から安定したモデルが構築できていると考える。また、同時並行で再現性のある呼吸疾患モデルの構築にも取り組んだ。当初の予定では、リポ多糖体(Lipopolysaccharide : LPS)を気管内投与することで急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)モデル動物を作製するとしていたが、尾静脈より規定量を投与することで安定したモデル確立の確立ができることが分かってきた。肺組織を中心とした病理評価を行っており、さらに検討を重ねていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ラットV-V ECMOモデルおよび呼吸器疾患モデルの確立を目標に研究を遂行した。大腿静脈、頚静脈にカニュレーションすることでラットにV-V ECMOを導入することができた。動脈圧および心拍数のモニタリング、さらに血液ガス分析の結果から安定したモデルが構築できていると考える。また、同時並行で再現性のある呼吸疾患モデルの構築にも取り組んだ。当初の予定では、リポ多糖体(Lipopolysaccharide : LPS)を気管内投与することで急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)モデル動物を作製するとしていたが、尾静脈より規定量を投与することで安定したモデル確立の確立ができることが分かってきた。肺組織を中心とした病理評価を行っており、さらに検討を重ねていきたい。 また、機械的人工呼吸器併用の影響の検討およびV-V ECMOの最適条件を見極めることを次の課題としている。プレ実験の結果、人工呼吸器による陽圧強制換気により、形態学的に傷害を受けることが確認できている。 以上の理由から、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製したARDSモデルに実際にV-V ECMOを導入し検討を行っていきたい。血行動態および血液ガス分析に加え、Hematoxylin-Eosin (HE) 染色、マクロファージの産生に着目し免疫染色により炎症の評価を行い病態の変化を捉える予定である。一方で、短時間では病理学的に変化が観察できない可能性があり、数時間~数日単位での安定したV-V ECMO管理も考慮して行っていきたい。V-V ECMOによる呼吸器疾患の回復を評価し、メカニズムを解明し、最終目標である「呼吸器疾患に対する適切な補助循環の条件・人工呼吸器を含めた適切な管理方法を提案すること」につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、これまで持っていた消耗品(動物手術に使用する実験物品)を使用することで物品費を中心に大幅に抑えることができた。よって、次年度に繰り越すこととなった。次年度以降は研究が進み、さらに論文や学会発表など対外的活動を積極的に行う予定で、支出増加が予想される。慎重かつ適切に使用していく。
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