研究課題/領域番号 |
18K08929
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
高須 朗 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00536170)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 出血性ショック / 蘇生法 / 輸液療法 / 低血圧 / 輸血療法 / 酸素代謝 |
研究実績の概要 |
背景:出血性ショックの蘇生は輸液療法で血圧を維持することが肝要である。しかし、損傷部が修復されないまま血圧を維持すると出血が持続し大量出血に至る。そのため、手術や塞栓術などの出血源に対する根本的治療がなされるまでの間 血圧を低めにコントロールする「許容的低血圧蘇生法」という治療戦略が近年、浸透しつつある。 目的:重症出血性ショックの治療戦略では、血圧を低めにコントロールする許容的低血圧蘇生法が近年、浸透しつつあるが、至適血圧レベルや早期輸血の功罪については明らかにされていない。本研究の目的は、ラット出血性ショックモデルを用いての実験で、それらを明らかにして同蘇生法の臨床応用での確立を目指す。 プロトコルの概要:本年度は以下の実験プロトコルで54匹のラットで実験を行った。ラット致死的持続性出血モデル(尾部切断)で輸血のみ vs.輸血・輸液の混合液群 vs. 輸液のみの3通りの輸血・輸液法で、3レベルの輸液速度(fast (27mL/hr) vs. moderate (13.4mL/hr) vs. slow (9mL/hr))(9群間(各群6匹、合計54匹))で、生存時間と酸素代謝(全身酸素摂取率、組織酸素分圧)を調べた。 結果の概略:短時間の輸液のみでの蘇生は、ショック中の血圧を上げるが、出血量が多くなり、全身酸素供給量が低下して早期に死亡することが明らかとなった。ショック蘇生では酸素代謝の観点から早期輸血と許容的低血圧蘇生法の妥当性が示された。現在、詳細なデータ解析と論文作成準備を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ほぼ予定どおりの実験計画で実験を行なった。実験解析の詳細が終了しておらず、やや予定より遅れている。解析終了後は速やかに、論文作成等準備に移行する。
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今後の研究の推進方策 |
重症出血性ショックにおける血圧を低めにコントロールする「許容的低血圧蘇生法」、また酸素代謝の改善の面からも早期輸血の有用性の有効性が明らかとなった。今後、重症出血性ショックの輸液・輸血療法についての臨床研究を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データー解析が遅れており、予定していた学会発表での旅費や経費、また論文作成諸経費の支出がなかったこと、また、 実験自体は予定より進行し、消耗品や雑費支出が少なかったことなどにより次年度使用額が生じた。次年度は引き続き解析等を行うため、解析費用および論文発表等の費用に使用する予定である。
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