研究実績の概要 |
(目的)危機的出血性ショックにおいて、早期輸血は組織酸素代謝不全を改善し止血操作など決定的処置までの生存時間を延長できるかを検討した。 (方法)18匹のラットに吸入麻酔を行い、2.5mL/100g/15分の脱血+尾部切断による持続性出血性ショックモデルを作成した。ショック中に各群6匹ずつ輸血群(全血9mL) vs.希釈輸血群(全血4.5mL+生理食塩水(NS)4.5mL) vs. NS群(NS 9mL)に分類してそれぞれ0.45mL/分で20分間投与し、180分間ラットを観察した。組織酸素代謝は肝臓組織酸素分圧を連続的に測定し、また動脈血酸素含有量及び下大静脈酸素含有量から酸素摂取率を求めた。各群間で循環動態、出血量、組織酸素代謝と生存時間を比較検討した。 (結果)輸血群と希釈輸血群では投与中の血圧が急高し組織酸素圧と酸素需要は改善した。全血群の4匹と希釈輸血群の3匹が実験時間の180分間生存したが、NS群で生存したものはなかった(p = 0.052; 輸血群 vs. NS群)。尾部切断部からの出血量に群間で差はなかった。 (結論)持続出血のある危機的出血性ショックでの早期輸血は組織酸素代謝を改善して生存時間を延長させる可能性がある。 (まとめ)本研究結果は「第49回日本救急医学会.東京, 2021」で口頭発表および「Bulletin of Osaka Medical and Pharmaceutical University 2021;67(1,2):1-7」に誌上発表を行った。
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