実臨床を模したラット出血性ショックモデルを用いて、輸血の組織酸素代謝と生存時間に及ぼす効果について実験的研究を行った。脱血と尾部切断による持続出血を行い、輸血または輸液の組合わせで全血輸血群、半希釈輸血群、輸液群の3群に分け、治療介入後に経時的に測定した循環動態、出血量、組織酸素代謝、および生存時間を比較検討した。全血輸血は晶質輸液単独に比べて血圧上昇による出血量が増加したが、組織酸素代謝を改善させ、生存時間も延長させた。これらは半希釈輸血投与の群においても有意差の無いものの同様の傾向を示した。以上より、非制御出血性ショックの動物モデルにおいて全血輸血により酸素代謝不全の改善が示された。
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