研究課題/領域番号 |
18K08935
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鶴淵 隆夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70778901)
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研究分担者 |
室井 愛 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10709215)
濱田 洋実 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60261799)
八木 洋也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70625623)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 早期胎内分子診断法の確立 / エピジェネティクマーカー / 次世代シーケンサー / 神経管閉鎖不全症 |
研究実績の概要 |
培養液や培養に必要な薬品一式, 培養容器, 抗体試薬を購入ずみであり, 研究の進行状況(特に羊水由来幹細の培養の準備状況について)は、本学産婦人科 医師に研究分担者として協力を仰ぎすでにサンプルが着々と集まってきた。また、現在、プロトコル改訂およびサンプルを増やし解析するため、倫理委員会へ申請した。プロトコルの中で次世代シーケンサーを用いて解析するため、サンプル対象を母体羊水・母体血液(全血)・母体尿、通常は廃棄してしまう臍帯血および胎盤組織の一部、新生児尿、をサンプルとして提供していただき、Whole genome sequencing、RNA sequencing、Epigenomics sequencing、Transmetabolome sequencing、Proteomicsを行うように変更した。また、羊水由来幹細胞を培養し、Whole epigenome sequencingを行うこととした。すでに同意を得てサンプルを取得した方へ、次世代シーケンサーを用いて解析する場合は、再同意を改めていただいてから行うことを確認した。期待される結果として、ShhやBMP4、他にWNT, FGF8のモルフォゲンなどのタンパク質の発現量を評価する。そのほかにも早期胎児診断マーカーとなるべき、タンパク質の異常発現、RNAやDNAの変異や発現量の変化を解析する研究方法へ変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次世代シーケンサーを用いて解析するサンプルを増やすため、プロトコル改訂や倫理変更申請が必要であったため、準備に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
すでに先行研究で示したように、母体羊水サンプルからの胎児由来幹細胞ニューロスフィアの形成方法が確立している(。先行研究ではヒトのNTD の原因についてエピジェネティクスの切り口で解明していく準備がなされた。本研究ではこれをさらに発展させ、早期胎内診断のための生物学的マーカーの確立を目指す。具体的には、脊髄髄膜瘤の胎児ではBMP4過剰であり、無脳症や葉酸不応性の髄膜瘤でShh 過剰であることを確認する。また、これらの症例でヒストンH3K27 やH3K9 のメチル化の増加やH3K4 のアセチル化の増加がみられることを確認する。このようなシグナル伝達の一部は小児脳腫瘍におけるエピジェネティクス機序にみられており、今後の展開が期待される分野である。このように本研究計画によって、ヒトのNTD の基礎研究から応用までの一貫した研究の基盤を確立できるものと考える。ヒトNTD における背腹側マーカーが確立されれば、より信頼性のある生物学的マーカーとして用いることができ、胎内早期診断が可能となる。さらに、ヒトNTD におけるエピジェネティクス機序が解明されれば、その機序を標的にして、治療を行うことができる。このことはまさに我々が目指す、胎内薬物治療(エピジェネティック治療)を可能とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンサーを用いた解析を行うことがより効率的でターゲットとする分子診断マーカーの確立のために非常に有用であると判断したため、倫理委員会での再審査が必要であると判断し、今年度は使用額が少なかった。症例からのサンプル(母体羊水・母体血清)は着々と集まっている。倫理委員会での再申請が受理されしだい、母体羊水、母体血液、母体尿、通常は廃棄してしまう臍帯血・胎盤組織の一部、新生児尿、のサンプルを集め解析予定である。
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