研究課題
膠芽腫内の腫瘍関連マクロファージ(TAM)の浸潤程度を検証すると、膠芽腫組織内のTAM浸潤率(CD163陽性率)は4-75%(平均値:23.6±18.5%)であった。CD163陽性のTAMは主に壊死や血管の周囲に観察され、IL-6もTAMと同様な領域で発現していた。CD163とIL-6の二重免疫染色では、CD163陽性TAMはIL-6も陽性であった。次に、腫瘍内TAMの浸潤程度とCSF中IL-6濃度との関係性を検証した。腫瘍内TAM浸潤率はCSF中IL-6濃度と有意な相関関係が示された。TAMが膠芽腫培養細胞U87のIL-6の発現と分泌を促進するか検証した。U87細胞をTAMと共培養し、上清中のIL-6濃度を解析すると、U87細胞単独培養やTAM単独培養の上清よりIL-6が著明に上昇していた。TAMとの共培養で、U87細胞のIL-6のmRNA発現量も著明に上昇した。高かった(Fig. 3C)。加えて、IL-6の下流分子であるSTAT3のmRNA発現量も同様に上昇した。細胞遊走解析では、単独培養のU87細胞と比べ、TAM共培養でU87の遊走細胞数は増加しており、遊走能は上昇した。加えて、単独培養のU87細胞と比べ、TAM共培養のU87細胞の方が、浸潤能も亢進した。SIRPa、CD47の発現は、膠芽腫では正常脳と比較して低下していた。一方、TAMにおいてはSIRPaの発現は低下しているものの、CD47の発現は維持されてた。したがって、SIRPa、CD47チェックポイント阻害に加え、PD1あるいはWT1などの補助抗体が有用であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
腫瘍関連マクロファージの膠芽腫細胞に対する影響を詳細に解析することが出来た。特に、IL-6の影響を詳細に解析できた。
今後、膠芽腫マウスモデルにSIRPa抗体を投与し、抗腫瘍効果を検討する予定である。また、SIRPa/CD47免疫ちぇくポイント阻害にPD1抗体などの補助抗体を用いた抗腫瘍効果についても解析する予定である。
消耗品の納入が遅くなってしまったため。消耗品として使用する予定です。
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