研究課題/領域番号 |
18K08945
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松田 正司 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (40173843)
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研究分担者 |
カーン モハメドシャキル 愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (70746867)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 二分脊椎 / ヒヨコ / 二光子顕微鏡 / 脊髄回路 |
研究実績の概要 |
二分脊椎症は出産1,000に対し約1例の頻度で発生し、嚢胞性二分脊椎症では脊髄内にも傷害がおよび、運動、排尿障害、下肢の変形等が起こる整形外科、脳神経外科、小児科等の領域で重要な疾患である。しかし、これまで適切な歩行障害モデル動物が開発されていなかった為に充分な病態解明がなされていない。申請者らは、手術により脊髄を再開裂し、二分脊椎ヒヨコモデルを世界で初めて作成することに成功し、小型神経減少、運動神経発生遅延、感覚神経走行異常を報告した(Mominoki ら2006)。二分脊椎における脊髄内神経回路障害に関しては、解析が充分では無い。特に、ヒトにおいて、出産時にある程度残った運動機能が、出産後に急激に悪化することが臨床上重要であり、妊娠後期(出産の直前)に開裂部位を外科的に閉鎖する手術が多く試みられた(Meuliら1995,96)。しかし、病態はあまり改善しないことが明らかになってきており、出産時にはすでに脊髄内の神経回路に不可逆的な変化が起きていることが示唆された(Hiroseら2001, Sivalら2004)。 申請者は本モデルでの神経障害をまとめ、さらに出産後に運動機能が急激に悪化することを発見し、論文発表した。さらに申請者は、本モデルを用いて二光子顕微鏡の専門家とニワトリ脊髄の感覚神経線維の観察にも成功した。本研究では二光子顕微鏡を用いて、二分脊椎における異常な神経回路を立体的に解析し、本疾患の神経病態の全容を解明したい。本方法の成功により立体観察が容易になったので、病態解明、薬物作用機序解明、さらに薬物治療の効果判定等にも威力を発揮し、大きな貢献が見込まれる。特に、同時に行っている二分脊椎のプロサポシン合成ペプチドによる治療効果に関しても二光子顕微鏡を用いて観察し、データを蓄積しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、本モデルを用いて二光子顕微鏡でのニワトリ脊髄の感覚神経線維の観察に成功した。本研究課題では二光子顕微鏡を用いて、二分脊椎における異常な神経回路を立体的に解析し、本疾患の神経病態の全容を解明することが最終目的である。現在までのところ、後根神経節と脊髄内の感覚神経線維の観察が出来ており、正常と二分脊椎で大きな差が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
後根神経節と脊髄内の感覚神経線維の観察が出来、正常と二分脊椎で大きな差が認められているので、さらに例数を増やして論文作成に繋げたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の為の物品費としては674円と少額であり、使用しにくかった。次年度の予算と合わせて使用する。
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