研究課題
二分脊椎症は運動、排尿障害、下肢の変形等が起こる整形外科、脳神経外科、小児科等の領域で重要な疾患である。申請者らは、手術により脊髄を再開裂し、二分脊椎ヒヨコモデルを世界で初めて作成することに成功し、小型神経減少、運動神経発生遅延、感覚神経走行異常を報告した(Mominoki ら2006)。しかし二分脊椎における脊髄内神経回路障害に関しては、解析が充分では無い。特に、ヒトにおいて、出産時にある程度残った運動機能が、出産後に急激に悪化することが臨床上重要であり、妊娠後期(出産の直前)に開裂部位を外科的に閉鎖する手術が多く試みられた(Meuliら1995,96)。しかし、病態はあまり改善しないことが明らかになってきており、出産時にはすでに脊髄内の神経回路に不可逆的な変化が起きていることが示唆された(Hiroseら 2001, Sivaら2004)。申請者は本モデルを用い本研究費の研究目的である神経障害と異常神経回路について解析し、出産後の運動機能の悪化と神経回路の異常が強く関連することを発見し、論文発表した。さらに今回、申請者は、本モデルを用いて二光子顕微鏡の専門家とニワトリ脊髄の感覚神経線維の観察にも成功した。本研究では二光子顕微鏡を用いて、二分脊椎における異常な神経回路を立体的に解析し、本疾患の神経病態に関する論文を投稿中である。本方法の成功により立体観察が容易になったので、同時に行っている二分脊椎のプロサポシン由来合成ペプチド(PS18)による治療効果に関しても二光子顕微鏡を駆使して、PS18が二分脊椎開裂部分の組織再生を促し治癒に繋がることを明らかにした。加えて、プロサポシンが組織再生を促すことから、プロサポシン受容体の発現を解析し、さらにその治癒機構の解明に向けて研究を続けている。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 10件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件)
Archivos de Bronconeumologia
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.arbres.2020.08.007
Cell Tissue Res
10.1007/s00441-020-03339-x
PLOS ONE
10.1371/journal.pone.0241315
J Veter Med Sci
巻: 56 ページ: 828-830
Albanian J Med Health Sci.
Online Journal of Neurology and Brain Disorders.
10.32474/OJNBD.2020.05.000202
Folia Neuropathol
巻: 58 ページ: 151-165
10.5114/fn.2020.96800
Histol Histopathol
巻: 35 ページ: 69-81
10.14670/HH-18-137
J Global Health
巻: 10 ページ: 020378
10.7189/jogh.10.020378