研究課題
当施設で脳血管内治療を施行した脳動脈瘤症例のデータベースより、治療が困難なタイプの動脈瘤、すなわち大型脳動脈瘤症例と小型でもコイル塞栓術後に再発した症例を収集した。これら脳動脈瘤のDICOM画像から医療用画像再構成ソフトSYNAPS VINCENTおよびZIO stationを用いて3次元(3D)データを作成し、STLファイルとして抽出した後に3Dモデリングソフトウエア(Blender)を用いて3Dボリュームデータに変換した。3Dモデルのポリゴンメッシュはplanarおよびcollapseのアルゴリズムを用いてメッシュ数を最適化し、親血管の血管径や分岐角度、動脈瘤への血液流入角度を段階的に改変(リモデリング)した。これらの改変したモデルにおいて動脈瘤壁の壁面せん断応力 (WSS) や振動剪断指数 (OSI) 壁面圧などのパラメーターについて、CFD (Computational Fluid Dynamics) 解析ソフトを用いて解析して比較検討を行った。CFD解析は前年度までと同様に脳動脈CFD血流解析研究支援ソフトウェアhemoscopeを用いた。解析条件は定常流と拍動流の双方で行い、血液をニュートン流体とし血管壁は剛体壁として解析した。これらの脳動脈瘤モデルについて動脈瘤の発生および増大因子、治療後の再発に関連する因子を解析した。形態学的な特徴量として、動脈瘤中心軸のprojectionと、血流に沿った親血管の走行軸とがなす3次元的位置関係が鋭角になるほど動脈瘤内のWSSが低下しOSIの平均値は高くなった。また動脈瘤中枢側の血管形状のみならず、末梢側の形状や動脈瘤中心軸に対する走行軸が動脈瘤の血流パラメータに影響しており、モデルの改変による動脈瘤への影響が多面的であることが判明した。一方で瘤壁表面のWSSおよびOSIのカラーマップイメージが動脈瘤破裂に関与した血流ストレスの可視化に有用とされているが、本検討の血管モデル改変による影響を数値定量化することが困難で、本研究への導入にはさらなる検討が必要と考えられた。
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