研究課題
今回我々は中枢神経系原発悪性リンパ腫 (primary CNS lymphoma; PCNSL) の体幹部再発、および体幹部の悪性リンパ腫の中枢神経再発 (secondary CNSL; SCNSL) で初発時、再発時のペア検体が得られた症例で両者の遺伝学的プロファイルを比較する事で、特に中枢神経系においてドライバーとなっている遺伝子異常を検索し、これらリンパ腫の主病理型であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)における組織親和性に関する新規知見を得ること、また再発予防戦略に対するシーズを探索することを目的とした。杏林大学医学部付属病院で本研究会開始時までに治療を行ったSCNSLおよびPCNSL体幹部再発例で、初発及び再発時の腫瘍検体が得られた症例に対し、腫瘍由来のDNAを生検検体から抽出し、PCNSLに高頻度あるいは特異的に検出される遺伝子変異を選択的に搭載した解析パネルを用いて、これら腫瘍における遺伝子変異解析、ならびにメチル化アレイを用いたコピー数異常の比較を行った。その結果、SCNSLでは、MYD88 遺伝子変異(4/4症例で陽性)、CD79B遺伝子変異(2/4症例で陽性)、PIM1遺伝子変異(4/4症例で陽性)が初発、再発両者でshared mutationとして認められた。また、中枢神経系再発の検体のみで認められたprivate mutationの中で比較的頻度の高い遺伝子が3種類検出された(各75%、50%、50%の割合で変異あり)。逆に、PCNSL体幹部再発では、体幹部再発の検体でのみ複数回認められたprivate mutationが1種類確認さされた(2/2=100%の割合)。これらの遺伝子変異が、中枢神経系あるいは体幹部への腫瘍発生へ寄与する機能を有するか、機能解析モデルを作成していく予定である。
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