さらに10例の下垂体腺腫が本研究に後方視的に組み入れられた。うち、5例がRNA抽出に適切であった。これらの下垂体腺腫症例のパラフィン切片を用いて、Cathepsin D、VEGF受容体、Mammalian Target of rapamycin (mTOR:VEGFによる刺激で血管新生促進、アポトーシス抑制に働く)、BMP-1、FGF2の抗体を用いた免疫染色による発現量の評価を行った。そしてこれらの発現とvon Willebrand factor(血管構築・血管密度を示すと考えられる)の発現と比較検討した。また、パラフィン切片を用い、RNA抽出を行い(High Pure RNA Paraffin Kit : Roche)、Real Time-PCRによる上記分子やVasoinhibinを含めた血管新生に関わる遺伝子の発現量の評価を行った。Ki67による増殖能評価、von Willebrand factorあるいはVE-cadherin抗体を用いた血管密度の評価と、上記血管新生関連分子の蛋白および遺伝子発現量との相関関係を検証した。その結果、下垂体腺腫においては、Cathepsin DとFGF2は、血管構築との間において、相関関係があることが示された。特に、Cathepsin Dと血管構築・血管密度との間には負の相関があることが示された。
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