研究実績の概要 |
プロラクチンと成長ホルモンは血管内皮細胞に直接的間接的に作用し血管新生促進作用を有する一方で、Cathepsin Dやbone morphogenetic protein 1 (BMP-1)による蛋白分解的切断により様々な病態においてはvasoinhibinとして抗血管新生作用を有する。下垂体腺腫における血管新生についてこれらの分子を注目し解析を行った。43例の症例を後方視的に検討し、22例がRNAの抽出に適していた。内訳は16例の臨床的非機能性腺腫と6例の成長ホルモン産生下垂体腺腫である。Cathepsin D, BMP-1, vascular endothelial growth factor (VEGF), basic fibroblast growth factor-2 (FGF2) のmRNAと蛋白発現量を、血管密度に関与するvon Willebrand因子のmRNAと蛋白発現量と比較した。Cathepsin DとFGF2は下垂体腺腫の血管密度の有意に相関しており、Cathepsin Dは臨床的非機能性腺腫と成長ホルモン産生下垂体腺腫において抗血管新生作用を有している一方、FGF2は臨床的非機能性腺腫においてのみ血管新生促進作用を有していた。Cathepsin D の作用はFGF2の作用に比べて有意に勝っており、両者は下垂体腺腫における血管新生に強く関与していると考えられた。
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