研究課題/領域番号 |
18K08964
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
内山 尚之 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80293364)
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研究分担者 |
見崎 孝一 金沢大学, 附属病院, 講師 (20507082)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳動脈瘤 / 塞栓物質 / 血栓化 / セルロースポーラスビーズ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,フローダイバーター単独では治癒に至らない動脈瘤を対象として,動脈瘤内にプラチナ製コイルではなく,多孔質足場(セルロースポーラス ビーズ,cellulose porous bead: CPB)を留置し,さらに母血管にフローダイバーターをおいた場合,瘤内の血栓化およびフローダイバーター内の内皮化がいか に誘導されるかを,瘤の縮小効果の有無のみでなく,瘤内部の組織学的検討から解析することである。研究代表者は,ラットの動脈瘤モデルにCPBを留置したと ころ,動脈瘤開口部に新たな血管壁が誘導され,瘤内への血流が完全に阻止されることを報告した。フローダイバーター単独では動脈瘤を完全血栓化に持ち込み づらくても,瘤内にCPBを留置することによって,動脈瘤開口部にあるフローダイバーター上に新生内膜を容易に誘導することが期待できる。臨床現場で遭遇す るのは,内頚動脈の頭蓋硬膜内の大型瘤で,海綿静脈洞部で内頚動脈が屈曲した後の大弯側に位置するものである。この瘤と母血管との位置関係は,実験動脈瘤 では curved aneurysm modelに相似する。よって本研究では,フローダイバーター単独では血栓化が誘導されにくいとされるcurved aneurysm modelをウサギで 作成する必要がある。 ニュージーランドホワイトラビット(体重3.5-4.5kg)を使用し,ケタミンによる全身麻酔下に頚部血管を露出し,curved aneurysmの作成を試みた。研究代表者 は,これまでにビーグル犬およびラットを使用して,動脈瘤を作成した経験がある。しかしウサギの場合,対象となる頚部血管が直径約2mmと細く,また非常に 攣縮をきたしやすい。また,作成した動脈瘤内部に容易に血栓が生じてしまい,瘤作成が非常に困難である。現時点では動脈瘤内部にCPBを留置するまでに至っ ていない。実験時の麻酔管理および術後の血栓予防処置,また手術手技の問題点を整理し,改善する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ニュージーランドホワイトラビットにおいて動脈瘤作成に成功していない。最大の理由はウサギを使用した動脈瘤作成に慣れていないことであるが,全身麻酔後 に衰弱してしまう動物もいる。また血管自体が脆弱で容易に攣縮をきたす問題もある。またいったん動脈瘤が作成できても,瘤内に自然血栓が生じてしまい, CPBを留置する段階で使用できない例もある。
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今後の研究の推進方策 |
ウサギの飼育状況の改善:全身麻酔後の衰弱に対応する。保温,呼吸管理を徹底する。 手術技術の向上:動脈瘤がcueved aneurysmであり,作成にやや高度の手術技術を要する.特に血管を触った際におこる攣縮に注意し,操作をゆっくり丁寧に行う ようにする。またより形態が単純なside wall typeの動脈瘤モデルに形態を変更することも考慮する。とくに大学院生に動脈瘤を作成させる場合,いきなり cueved aneurysmの作成は行わず,まずは単純なside wall aneurysmの作成をさせ,手術手技の習熟をはかる。そのうえでcurved aneurysmの作成に移行する。瘤 血栓化の予防:術後ヘパリン使用を考慮する.具体的には,術後50単位/kgのヘパリンを皮下注し,瘤の内腔が維持されることを期待する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の目的は,フローダイバーター単独では治癒に至らない動脈瘤を対象として,動脈瘤内にプラチナ製コイルではなく,多孔質足場(セルロースポーラス ビーズ,cellulose porous bead: CPB)を留置し,さらに母血管にフローダイバーターをおいた場合,瘤内の血栓化およびフローダイバーター内の内皮化がいか に誘導されるかを,瘤の縮小効果の有無のみでなく,瘤内部の組織学的検討から解析することである。実験モデルとして、ニュージーランドホワイトラビットにて動脈瘤作成を行うこととしたが、作成が困難であり、塞栓物質を留置可能な動脈瘤が完成実験が遅延している。今後、作成手順を見直して、新たな実験動脈瘤作成にのぞむ。ただし、ウサギでの作成が困難な場合、ラットモデルへの変更も検討し、CPBの内皮化の詳細検察する。
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