研究課題/領域番号 |
18K08969
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中城 登仁 高知大学, 医学部, 研究員 (30311830)
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研究分担者 |
上羽 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (40380323)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膠芽腫 / 遺伝子治療 / DDS / 間葉系形質 |
研究実績の概要 |
膠芽腫幹細胞において高発現するCD146遺伝子を標的とした治療法の効果を検討するために、マウス脳腫瘍モデルを用いて、siRNAを用いた遺伝子治療法の構築を目指した。 siRNAのデリバリーには、腫瘍細胞で高発現する葉酸受容体を標的化するために葉酸を結合させたキトサンオリゴ糖からなるナノパーティクルを用いた。脳腫瘍細胞を移植したマウスにおいて本ナノパーティクルを尾静脈経由で投与すると数時間でナノパーティクルの腫瘍部位への集積が観察された。組織学的解析では、CD146に対するsiRNAを結合したナノパーティクルを含む腫瘍細胞において高頻度にCD146の発現が抑制されていることが観察された。 次に、生体イメージングを用いた腫瘍の増減のモニタリングにより、本遺伝子治療法の効果を検討した。ナノパーティクルは、週に一度、4週にわたり投与した。対照群と比較して、CD146に対するsiRNAをデリバリーした治療群では、劇的に腫瘍の増大が抑制され、完治する個体も見られた。治療群の個体における残存腫瘍では細胞増殖を示すKi-67や間葉系遺伝子であるVimentinの発現低下が観察された。 これらの結果は、葉酸結合キトサンオリゴ糖ナノパーティクルのsiRNAの脳腫瘍細胞へのデリバリーにおける有用性を示し、CD146の発現抑制が脳腫瘍細胞の増殖や間葉系形質を抑制することで腫瘍形成を阻害し、悪性脳腫瘍の治療に有効である可能性を示唆している。 さらに、CD146のリガンドの一つであるGalectin-1に対する阻害剤が膠芽腫幹細胞に対して増殖阻害効果を示すことを見出したことから、CD146が治療標的分子として有望であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CD146の下流に存在する因子はまだ同定し得ていないが、この遺伝子を標的とした治療法が有効であることを示すことが出来た。動物モデルにおける評価系を構築したことで、今後、同定するCD146関連因子に関しても悪性脳腫瘍の治療法の確立や悪性度の診断への応用が期待出来る。
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今後の研究の推進方策 |
膠芽腫幹細胞においてCD146の上流と下流の遺伝子について同定を行う。これらの遺伝子に関して治療法への応用や新規診断マーカーの確立に関して検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
勤務地の異動が一部あり、研究計画に遅れが生じたため。
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