研究課題/領域番号 |
18K08970
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
空閑 太亮 九州大学, 大学病院, 助教 (40759932)
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研究分担者 |
赤木 洋二郎 九州大学, 大学病院, その他 (10570773) [辞退]
秦 暢宏 九州大学, 大学病院, 講師 (10596034)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 頭蓋内胚細胞腫瘍 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、近年liquid biopsyの候補として注目されている分泌型microRNAを用いて、頭蓋内胚細胞腫瘍の新たなバイオマーカーを確立することを目的としている。今年度は、昨年度と同様に脳腫瘍における血液中、髄液中のバイオマーカーの同定に注目して研究を進めた。昨年度同様に胚細胞腫瘍患者の入院、手術が極めて少なかったため、十分なライブラリーの構築ができなかったこともあり、引き続き代替として代表的な脳腫瘍である神経膠腫患者におけるliquid biopsyの研究を行った。悪性神経膠腫患者において採取した血液、髄液中の遺伝変異をデジタルPCRを用いて行ったところ、同腫瘍の凍結標本より得られた腫瘍特的な遺伝子変異を髄液中より同定ができた。血液中での遺伝子変異の同定は全例で同定できず、脳腫瘍においては血液中へのバイオマーカーの分泌はほとんどない可能性が示唆された。理由としては脳血液関門の存在が最も可能性が高いと考えられた。結果的には髄液を用いた場合は、胚細胞腫瘍患者においてもバイオマーカーの同定が可能と考えた。今後はこれらの手法を胚細胞主要患者の髄液を用いて研究を継続していく。方法は昨年度と同様に、頭蓋内胚細胞腫瘍臨床サンプルを用いて、網羅的microRNAの発現プロファイルを基に、腫瘍分化過程および腫瘍組織型決定に関わるmicroRNA群を同定する。 同定したmicroRNA群が患者血液中にも存在する分泌型microRNAであることを確認し、治療前後、再発時などの臨床経過の様々な時点での推移を明らかにする。 の2点について進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年と同様に胚細胞腫瘍患者の入院がほとんどいなかったため、ライブラリーの構築が思う様に進んでいない。。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様に頭蓋内胚細胞腫瘍患者のライブラリーの作成をまず行っていく。その後は以下に沿って研究を進めていく。 頭蓋内胚細胞腫瘍の各組織型の臨床サンプルよりmicroRNAを含んだtotal RNAを抽出する。網羅的microRNAの解析にはAgilent miRNA arrayを使用する。コント ロールとしては正常組織(正常脳、松果体組織、精巣、卵巣)および生殖器胚細胞腫瘍を用い、頭蓋内胚細胞腫瘍特的なmicroRNAを同定する。さらに各腫瘍型に おけるmicroRNA発現プロファイルの比較により腫瘍型特異的なmicroRNAを同定する。これらのmicroRNAについては、サンプル数を増やしデジタルPCR法を用いてvalidationを行う。 同一腫瘍のtotal RNAに対し、expression arrayを用いた網羅的遺伝子発現解析を行う。各種microRNA target scanを用いた、特異的microRNA のtarget情報と発現プロファイルを併せ、胚細胞腫瘍において重要な役割を果たすmicroRNA標的分子(シグナル伝達系)を同定する。上記の解析結果を 統合し、頭蓋内胚細胞腫瘍の各組織型における新たなバイオマーカー候補を選定する。現時点においてはバイオマーカー候補としてはmiR 371-373およびmiR302/367を想定しているが、網羅的解析により新たなmicroRNAが選出されることも期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者サンプルが集まりが予想以上に悪く、消耗品の購入が結果として少なくなった。次年度はサンプル数が充足する予定であるため、翌年度分として請求した
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