研究課題
本研究では頚動脈狭窄症のプラークに高発現しているペリオスチンに着目し、頚動脈狭窄症におけるペリオスチンの果たす役割について検討を行っている。頚動脈内膜剥離術で摘出したプラークを用いて、免疫組織化学的検討を中心に行った。プラーク内に高度の出血を含む不安定プラークと、出血を含まない安定プラークとにわけて検討した。腹部大動脈瘤において、炎症細胞の浸潤が著明な部位でペリオスチンが特に強く発現していることが報告されている。Elastica van Gieson染色において、頚動脈プラークではペリオスチンはプラーク内のコラーゲン線維に一致して強く発現していた。しかし、α-smooth muscle actinが発現している部位には発現していなかった。炎症細胞の浸潤が認められやすいプラークのshoulder regionや脂質コア近傍において、ペリオスチンは他の部位に比べて強く発現しているわけではなかった。安定プラークに比べて不安定プラークの方がペリオスチンが高発現している傾向であったが、有意差はなかった。神経膠腫および髄膜腫において、ペリオスチンは腫瘍周囲の間質に発現していた。これらの腫瘍において、悪性度ごとに検討したところ、ペリオスチンは悪性度があがるほどに高発現していた。したがって、ペリオスチンの過剰発現が、これらの脳腫瘍の悪性化に関与している可能性が示唆された。下垂体腺腫や神経鞘腫において、ペリオスチンの発現は低く、組織型による差は認められなかった。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Cancers (Basel)
巻: 12 ページ: 1334
10.3390/cancers12051334.
Oncol Lett
巻: 19 ページ: 1247-1254
10.3892/ol.2019.11231. Epub 2019 Dec 20
Int J Mol Sci.
巻: 21 ページ: 1980
10.3390/ijms21061980.