研究課題/領域番号 |
18K08972
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
堀江 信貴 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (70380912)
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研究分担者 |
日宇 健 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00404260)
定方 英作 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (10772139)
西田 教行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40333520)
出雲 剛 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40343347)
諸藤 陽一 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40437869)
佐藤 克也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70398147)
山口 将 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70712131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / 幹細胞 / 動脈内投与 |
研究実績の概要 |
Sparague-Dawleyラットを使用し、ナイロン糸を中大脳動脈分岐部まで挿入し、脳局所虚血モデルを作成する。ラットの腹側頚部を正中切開し、総頚動脈より4-0モノフィラメントナイロン糸を分岐部より18-20mm挿入し75分後に抜去することで一過性中大脳動脈閉塞とする。梗塞24時間後にヒト骨髄間葉系幹細胞を経動脈的投与する。投与細胞数は1×1000,000個とした。薬剤により細胞機能向上を図った細胞と、そうでない細胞を「若年ヒト由来」、「高齢ヒト由来」で組み分け、PBS群とともに計5群を設定した。評価項目として、modified neurological severity score (mNSS), cylinder testによる行動学的評価、cresyl violet染色による梗塞サイズの評価、更に免疫組織染色ではperi-infarct areaのRECA-1(新生血管、あるいはvascular branchingのマーカー), Iba-1(炎症細胞であるmicrogliaのマーカー)を検出し細胞投与による影響を比較した。細胞機能向上を図った群は、いわゆるresting microgliaの割合が有意に多く見受けられ、抗炎症作用の更なる改善を認めた(10.23±5.85% vs. 23.58±12.45%; P<0.001)。また行動評価ではday21でのmNSSでは細胞機能向上させた群が有意差をもって改善を認めていた(median 4.00 [IQR, 3.00-5.00] vs. median 3.00 [IQR, 1.00-4.00]; P = 0.0259)。Day7ではPBS群と比較して細胞機能向上群が若年群とともに有意差をもって行動改善が見受けられた(median 6.00 [IQR, 5.00-7.00] vs. median 5.00 [IQR, 4.00-6.00]; P = 0.0188)。対側からの内在性幹細胞遊走については脳梗塞後3日後に対側のsubventricle area に多く見られ、同細胞群は脳梗塞7日後には脳梁膨大部に多く観察され、病変に向けて遊走していることが示唆された。液性因子の解析については蛍光免疫染色がうまく機能せずにいまだ評価には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳梗塞モデルにおける梗塞後及び細胞投与後の行動評価が比較的バラツキなく評価が可能であった。組織学的染色においてもRECA1, Iba 1などの抗体染色および画像定量評価がスムーズであった。幹細胞の液性因子の解析には若干の時間を要する状況である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞機能向上を多角的に定義付けすることで、研究内容の信頼性を高めていく作業に取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通りの使用額であったが、当初予定していた軸索評価や樹状突起評価までに至らず、使用する抗体、試薬の購入を見送ったため。これらを次年度に購入する予定である。
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