研究課題
本研究では血液脳関門(BBB)の基本構成単位である脳毛細血管内皮細胞、ペリサイト、及びアストロサイトといった、全ての細胞を組み合わせた複数の共培養in vitro BBBモデルを用いて、病態モデル(虚血、炎症、がん脳転移)を作製、また、灌流型の3次元BBBモデルを開発し、neurovascular unitにおける細胞間相互作用を検討することを第一の目標とした。さらに現在臨床の現場で使用されている薬剤がBBBに与える影響及びその作用機序の解明を行った。このメカニズムを解明することにより中枢神経疾患治療薬の開発、ひいては全く新しい創薬概念である「BBB保護薬」の開発を目的として研究を行ってきた。 令和4年度においては、まずは灌流型3次元血液脳関門モデルの作成に取り掛かり、長崎大学薬理学教室、ハンガリー科学院および米国ワシントン大学との共同研究を進めた。その成果は国際シンポジウムにて報告を行い、高い評価を得た。また、同時に進めていた2次元in vitro血液脳関門モデルの作成を行った。多孔質の半透膜をもつ立体培養皿を用い共培養モデルを作製した。液性因子のみの影響を受けるモデルと、内皮細胞とペリサイトまたはアストロサイトが接触できるモデルを作製し、更に3種類の細胞を同時に共培養したモデルも含め7種類のモデルを作製した。これらのモデルを用いて、塩酸ファスジルのBBB保護作用について明らかとして、この成果についても論文発表してきた。これらの成果については、すでに高い評価を受けることに成功している。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Fluids Barriers CNS.
巻: 19(1) ページ: 43
10.1186/s12987-022-00336-w., 2022