研究課題
ラット脊髄損傷モデルに対して骨髄間葉系幹細胞(MSC)の経静脈投与することによって、中枢神経系にどのような神経回路の再構築(plasticity)が生じるかを検証するため、ラット胸髄Th9レベルの脊髄損傷モデルを作成し、動物用MRIでの撮像条件の最適化を検討した。8-9週齢のSDラットを購入し、ラット用脊髄損傷作成装置(IH-0400 Impactor; PSI社製)を用いて、安定した損傷部位を作成できることを確認した。その後、動物実験用高磁場MRI装置にて、脳、脊髄おける各種プロトコール(T1、T2、DTI等)での撮像を行い、撮像条件の調整を行い最適な撮像条件の検討を行った。撮像データの解析、特にDTIデータの解析を目的としてパーソナルコンピューターを別途購入し、専用のアプリケーションにて解析を実施した。臨床においては、これまで当院にMSC治療を目的として入院した全ての脊髄損傷症例の脳、脊髄のMRIデータを検証した。撮像時期は、原則、入院時、投与直前、投与1ヶ月後、投与3ヶ月後、投与6ヶ月後の時点としていたが、入院病床の調整の関係で、撮像出来ない症例も散見された。特に脳DTIデータを用いたコネクトーム解析では、標準化の方法、使用する脳atlasの選択、ROI間の接続強度の閾値設定など、症例間でばらつきのない均一な解析を実施するためのパラメータの設定を検討している。さらに、T1、T2などを用いて大脳皮質厚や体積などの構造学的なデータ解析も同時に実施し、コネクトーム解析で得られた結果との比較も実施している。また、脊髄MRIでのDTIでは、定量的な解析を目的に各種解析パラメータの検討を実施している。