研究実績の概要 |
平成30年度に高石灰化頚動脈粥腫において、血管新生および石灰化に関与する遺伝子の一塩基多型の差異を明らかにした。これを踏まえて、さらに高石灰化頚動脈粥腫の遺伝子修飾の特徴を探るため、令和元年度および2,3,4,5年度は、頚動脈内膜剥離術にて摘出した8粥腫についてカルシウムスコアをもとに高・低石灰化2群(3:5)に分け、 ゲノムDNAを抽出後、Bisulfate変換し、増幅、断片化、精製し再懸濁後、Infinium MethylationEPIC BeadChipアレイにapplyしhybridizationを行った。標的ヌクレオチドを取り込ませ蛍光色素標識抗体を用いて染色後、Illumina iScanを用いて蛍光イメージを取得しGenomeStudio/Methylation Moduleを用いてデータマイニング解析を行った。RefSeqアノテーション情報を用い、全プローブ、プロモータ領域、CpG Island領域について、高・低石灰化群間でDNAメチル化頻度が有意差を示すデータを抽出した。プローブをBMIQで正規化し、p<0.05でフィルタリングを行いプローブを抽出した。プロモータ領域 にてメチル化異常を示した667遺伝子のうち、低メチル化が94.5%を占めた。主成分分析で高石灰化群は低石灰化群と分画され、高石灰化群において13遺伝子で|log2ratio|>1.0 のメチル化差異を認めた。promoter領域で検出された遺伝子と、各ゲノム領域ごとに検出された遺伝子を比較すると、CGRP受容体として血管拡張、平滑筋細胞増殖抑制などに関与し、抗動脈硬化作用および石灰化作用のあるRAMP1の低メチル化が、promoterと組織特異的なCpG island shore領域で共通して抽出された。
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