研究課題/領域番号 |
18K08982
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
樋口 敏宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (80218700)
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研究分担者 |
梅田 雅宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60223608)
田中 忠蔵 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 名誉教授 (80163541)
渡邉 康晴 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 講師 (90454537)
河合 裕子 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 助教 (90555616)
萬代 綾子 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 助教 (20769343)
村瀬 智一 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 客員助教 (00708943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / グリンパティックシステム / MRI / MRS |
研究実績の概要 |
①拡散強調画像を用いた組織中の水可動性の観測 2017年にTaokaらはアルツハイマー病患者において、ミニメンタルステート検査と患者の脳の脳室周囲組織の拡散強調画像を用いたADCの相関についての解析を行い、脳室周囲のADCが血管周囲腔の容積との関連を指摘している。また、Nakataらはアクアポリン4とVirchow-Robin腔の水のダイナミックスについて考察し、静水圧によりアクアポリン4を通して水がVirchow-Robin腔へ入り込むとしている。こうした水のダイナミックスを捉えるためにb値を0, 100, 300, 1000 s/mm2で拡散強調画像を計測し、ADCを求めた。また脳脊髄液は心拍動に同期して流れていることがわかっており、心拍動に同期した圧力変化が予想される。このことから心拍動に同期したADCの変化をTaokaらが変化を見いだした脳室周囲の3つの領域で計測した。4つのb値をプロットして計算したADCでは、心拍相による変動が観測されたが、特に領域による差は見られなかった。このため微小なフローにより敏感な(血流の影響の多くが排除される)b値である100と300s/mm2の2点のみをプロットしてADCを計算したところ、心拍相による変動は4つのb値を用いたADC変動より大きかった。
②CSIを用いたグルタチオンの計測 グルタチオンは他の代謝物質とオーバラップしており、3TのMRI装置を用いて計測した場合、他の代謝物ピークとの重なりがあり、従来はエデティングで分離計測が必要であった。この場合信号が減弱する、計測時間が延長するなどの問題があった。これを解決するために7Tの超高磁場MR装置を用いて脳の代謝物を計測し、代謝物分離ソフトのLC-Modelを用いて解析したところ、一部のボクセルでグルタチオンが分離計測できていることを確認した。高感度で計測されたボクセルでは0.6mmol/L程度の濃度が検出され、他の報告と大きな矛盾をしない結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は①拡散強調画像を用いた組織中の水可動性の観測および②CSIを用いたグルタチオンの計測を実施した。
水のダイナミックスを捉えるためにb値を0, 100, 300, 1000 s/mm2で拡散強調画像を計測し、ADCを求めた。また脳脊髄液は心拍動に同期して流れていることがわかっており、心拍動に同期した圧力変化が予想される。このことから心拍動に同期したADCの変化をTaokaらが変化を見いだした脳室周囲の3つの領域で計測した。4つのb値をプロットして計算したADCでは、心拍相による変動が観測されたが、特に領域による差は見られなかった。このため微小なフローにより敏感な(血流の影響の多くが排除される)b値である100と300s/mm2の2点のみをプロットしてADCを計算したところ、心拍相による変動は4つのb値を用いたADC変動より大きかった。計算に用いたデータポイントを減少させたことによるエラーも含まれることを考慮して、さらに症例の集積を行う予定である。
グルタチオンは他の代謝物質とオーバラップしており、3TのMRI装置を用いて計測した場合、他の代謝物ピークとの重なりがあり、従来はエデティングで分離計測が必要であった。この場合信号が減弱する、計測時間が延長するなどの問題があった。これを解決するために7Tの超高磁場MR装置を用いて脳の代謝物を計測し、代謝物分離ソフトのLC-Modelを用いて解析したところ、一部のボクセルでグルタチオンが分離計測できていることを確認した。高感度で計測されたボクセルでは0.6mmol/L程度の濃度が検出され、他の報告と大きな矛盾をしない結果が得られた。問題点は磁場の均一度を向上させるシム調整の制限から計測領域が限られている点であり、今後改善を図る。
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今後の研究の推進方策 |
現在正常脳に対する検討を進めており、さらなる症例の集積が必要である。また、加齢による変化が大きいことが予測されることから、若年層と高齢層の比較を実施する予定である。また、MRS取得の精度を向上させ、脳内濃度が微量であるために測定が難しい神経伝達物質について、脳局所ごとの脳内濃度変化の正確な解析を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
業務の都合によって予定していた国際学会への参加を見合わせたことに加え、データのバラツキに起因する実験手法の調整を必要としたため、申請書に記載した当初の使用計画に沿った予算消化が困難であった。しかしながら、3年間を通じた使用計画には影響を与えるものではなく、測定解析に必要な電子部品、ソフトウェア、その他ノイズ対策のための部材、データ保管のためのストレージ、ヒトを対象とした測定で必要となる謝金と測定用消耗品等の購入を予定している。加えて成果発表のための学会出張旅費、論文投稿費を拠出する予定である。
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