研究課題/領域番号 |
18K08983
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
淺井 昭雄 関西医科大学, 医学部, 教授 (50231858)
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研究分担者 |
伊藤 量基 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70434826)
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 助教 (60580446)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グリオーマ / がん幹細胞 / OX40 / 免疫チェックポイント |
研究実績の概要 |
膠芽腫はあらゆる年齢に発生し、原発性脳腫瘍で最も多い腫瘍である。外科的摘出・放射線治療・化学療法などの集学的治療を行っても、腫瘍は必ず再発し腫瘍死を免れない。平均生存期間は約1年で、ここ数十年目立った予後の改善がない難治性腫瘍のひとつである。治療抵抗性の原因として、がん幹細胞の存在が提唱されている。がん幹細胞は治療抵抗性を示し少数でも残存してしまうことで、がん根治が困難となっているという概念である。しかし、がん幹細胞が治療抵抗性を示す詳細な機序は、現在完全には明らかにされていない。これらを解明していくことは、悪性腫瘍に対する根治的治療概念の樹立を目指す上で、大変重要な意味を持つと考えられる。近年、がん治療において免疫治療の有効性が証明され、膠芽腫に対してもPD-1を標的とした臨床試験が行われたが、その有効性を証明することはできなかった。 我々は、膠芽腫のがん幹細胞に対する免疫治療を開発するためヒト膠芽腫の腫瘍組織から、がん幹細胞株を樹立し、免疫応答に関連する分子についてcDNAマイクロアレイを用いて網羅的に探索を行った。その結果、がん幹細胞において、免疫チェックポイントタンパク質であるOX40が発現していることを見出した。またタンパク質レベルでの発現を評価するためにフローサイトメトリーでOX40の発現を解析したところMesenchymal (MES) typeのグリオーマがん幹細胞でOX40の発現を認めた。さらにMES typeのグリオーマがん幹細胞を移植した脳腫瘍マウスモデルを作製し病態を解析した。グリオーマの病変部位において、OX40はがん細胞の細胞膜に発現していた。OX40がグリオーマ治療の分子標的に成り得る可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、OX40が免疫細胞以外で発現していることは知られていなかった。我々は、OX40がグリオーマの腫瘍微小環境に存在することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
[1]OX40発現がグリオーマの悪性度と関連するかを検証するために、膠芽腫患者の腫瘍組織を用いて免疫組織化学を行い、OX40発現とWHO grade(悪性度)との関連、OX40発現と生存期間について解析する。 [2]shRNA発現ウイルスベクターを用いて、OX40発現をノックダウンした細胞株を作成し、マウス脳に移植し生存期間を評価する。得られた脳腫瘍検体を用いて、腫瘍サイズや腫瘍の浸潤について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、当該助成金が生じた。消耗品費(試薬)に充当する。
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