研究課題/領域番号 |
18K08985
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
折戸 公彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50597408)
|
研究分担者 |
森岡 基浩 久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
広畑 優 久留米大学, 医学部, 教授 (40218863)
原田 秀樹 久留米大学, 付置研究所, 客員准教授 (30198923)
青木 孝親 久留米大学, 医学部, 講師 (70330842)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 間接血行再建術 / 骨髄間葉系細胞 / 顆粒球コロニー刺激因子 / 細胞移植療法 / 中大脳動脈閉塞モデル / 血管新生 |
研究実績の概要 |
脳梗塞は全医療費に占める割合が高く、寝たきり原因の3割を占める医学的、社会的に重要な疾患である。脳梗塞超急性期における、rt-PAや機械的血栓回収療法は、ものすごい勢いで成績が向上している。その一方で、時間的適応が外れた症例や、治療にも関わらず梗塞巣が完成された場合には有効な治療法が確立されていない。脳梗塞の再生医療として骨髄間葉系細胞を用いた研究がどんどん進行しており、急性期や慢性期における臨床研究が進行中である。本研究は、本来もやもや病に対し使用される間接血行再建術を応用し、成人の脳梗塞巣に対し血管新生を促す方法の開発を目的としている ①脳梗塞となった脳表面に対し、間接血行再建術を行い、側頭筋と脳表が接した状態を作る。②側頭筋を栄養する外頸動脈に繰り返し細胞移植を行い、血管新生を促進する。 ③脳表と側頭筋の間に幹細胞により作成したシートを配置し、側頭筋から脳内への血管新生を促進する。④移植細胞に対し電磁気刺激(EMF)を行い、細胞の活性化や増殖能力の向上を目指す。脳表に幹細胞シートをひくことで、新生血管の材料補給とナーシングエフェクトが期待でき、側頭筋の栄養血管へ幹細胞を供給する事で持続的な幹細胞の供給を可能とする。また移植細胞に対し、培養中にEMFを負荷する事で増殖率、生着率等の向上を期待するものである。間接血行再建術は脳を傷つける事なく施行が可能であり、間接血行再建術で新生した還流路は最も脳血流を必要とするところと交通することが期待され、より効果的な細胞移植療法を可能とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中大脳動脈閉塞モデルにおいて、間接血行再建術を安定して行う事は可能であり、脳梗塞を起こした脳表に骨膜、筋膜を触れる状態としたモデルを作成している。近接した組織から脳内への新生組織が脆弱であり、その接続部分を組織として固定する事が難しく検討を繰り返している。 また培養細胞に対してロボットアームで手を触れることなくEMFを付加することが可能な培養器を用いて検討を行っているが、電磁気刺激の条件、効果的なスケジュールをrt-PCRの評価を行いながら検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
脳表に骨髄間葉系細胞でできた細胞シートの作成が難しく時間がかかっているが、細胞シート、骨膜、筋膜等それぞれの組織間で違いがあるかどうかの検討は今後行っていく予定である。他にも外頸動脈へ選択的に細胞移植を行う事を計画しており、全身の静脈投与との差を検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定である細胞移植に到達できず、in vitroでの細胞培養が現在中心であり、準備が整いしだい動物モデルへの移植を始める予定であるが、準備ができるまでは動物の購入等はできないため、次年度へ使用額がずれている。
|