研究課題/領域番号 |
18K08987
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高野 晋吾 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50292553)
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研究分担者 |
加藤 幸成 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00571811)
山下 年晴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50400677)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | vasculogenic mimicry / glioblastoma / angiogenesis / chetomin / antiangiogenic therapy |
研究実績の概要 |
【目的】膠芽腫の血管新生抑制の抵抗性の克服には、bevacizumabで抑制できない血管新生の中でasculogenic mimicry: VM)とVascular co-optionの抑制が重要である。今年度はVMの抑制に焦点を絞った。 【対象・方法】ヒト膠芽腫14例のパラフィン切片で、内皮細胞のマーカー(CD34)と基底膜のマーカー(Type IV collagen)で蛍光2重染色し、CD34(-) / collagen(+)の管腔構造(=VM)の頻度をカウントした。 次に、ヒト膠芽腫細胞(U87-MG、LN229)を用い、chetmominの増殖抑制効果をWST assayで、HIF-1α発現をRT-PCR、wesernで、管腔形成能をマトリゲル上での管腔形成能で評価した。最後に、U87-MGのSCIDマウス脳内移植モデルで、chetomin全身投与の効果を評価した。 【結果】膠芽腫におけるVMの頻度:VMは全症例でみられ、平均205個の血管を観察し、VMは平均4.2%にみられた。Chetominは低酸素状態でU87-MGの管腔形成を10nMで70%抑制した。脳内モデルではchetomin投与群(1mg/kg, 2x/week, I.P. for 4 weeks)で腫瘍サイズは非投与群と変わりはなかった。血管密度も違いは無かったが、VM頻度は減少する傾向がみられた。 【結語】VMは膠芽腫血管新生の重要な標的である。Chetominは膠芽腫のHIF-1α発現を抑制するだけでなく、VMを抑制することから、VEGF抑制療法と合わせた治療への応用が期待される。次年度はvascular co-optionに焦点を設けて、組織切片、細胞、動物モデルを使った実験を計画する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進んでいる。成果は学会発表を行った。次年度以降の結果と合わせて論文化する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は血管新生抑制療法の抵抗性のもう一つの因子である、vascular co-optionについて、その分子機構を調べ、標的治療を考案する。 膠芽腫腫瘍切片でのco-optionの頻度を評価し、分子機構を確かめるために、血管内皮細胞マーカーと標的分子の蛍光2重染色を行う。組織切片で確かめた分子の抑制を、vitro co-optionのモデルを作成し、確かめる。 最後に動物モデルを用いた分子標的治療を考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究がこれまでの研究室の物品や試薬で行うことができたため。
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