研究課題
原発性中枢神経リンパ腫(PCNSL)は予後不良な原発性脳腫瘍の1つで、生存期間中央値は約3年である。これまでの染色体遺伝子解析では、Myc, Bcl2, Bcl6などの染色体転座やMYD88, CD79Bなどの遺伝子変異により、NFkB経路やSTAT3経路、PI3K経路が亢進していることが明らかとなってきたが、PCNSLの代謝についての研究はほとんど行われていない。申請者らは、PCNSLにおける代謝変化を、MRスペクトロスコピー(MRS)や質量分析器を用いて解析し、染色体異常、遺伝子変異、サブタイプや予後との関連性を解析し、新たな治療ターゲットとなりうる代謝経路の同定を目的に研究を遂行している。最終年度までにPCNSL組織標本のメタボローム解析では有意な結果が得られなかった。したがって、 PCNSL患者の髄液中のバイオマーカーとしてC-XCmotif chemokine ligand 13 (CXCL13) が上昇していることに注目し、CXCL13が予後予測因子であることを見出した。また、既知のβ2-microglobulin (β2-MG)や soluble IL-2 receptor (sIL-2R)、interleukin-10 (IL-10) 値との組み合わせによって診断アルゴリズムを開発した。その結果、感度、特異度とも97%と非常に優れた診断能を有し、手術を行わず非侵襲的にPCNSLの正確な診断が出来ることを報告した。
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Cancer Med.
巻: 9(12) ページ: 4114-4125.
10.1002/cam4.3048.
https://www.med.kobe-u.ac.jp/neuro/study/brain-tumor.html